2020年7月27日月曜日

的中地本問屋 その44




P.15



P.15 下段

(読み)
「多つ多今 おいてい可しつ多
 たったいまおいていかしった

そ者゛可らもふ志゛起尓うれて
そば からもうじ きにうれて

志まつ多可ら奈んでも
しまったからなんでも

あり多け可いましやう
ありたけかいましょう

こつちへきて
こっちへきて

く多゛され
くだ され


これハむ多い
これはむたい

奈まづこゝ
なまずここ

を者奈し
をはなし

てくん奈
てくんな

セへ
せえ

いま尓
いまに

まいり
まいり

ま春
ます


(大意)
「たった今、置いて行った
そばから、もうすぐに売れてしまったから
なんでもありったけ買いましょう。
こっちへ来てくだされ。

 これは無体な。
まずここを離してくんなせえ。
いまに、参りますって。


(補足)
「おいてい可しつ多」、置いて行った、でしょうけど、当時の言い回しかそれとも今でも使われているかもしれません。

 時代劇のテレビの一場面のようです。
くだけた口語体の会話ですが、現在とさほど変わりません。

 本屋さんの左腕をとって引っ張っているおじさんの動きの描写の見事なこと。
左足先がそりかえり、力がこもっている様まで描いています。
何度も引っ張ったのでしょう、着物の前がはだけてます。左袖口を二重線で描き、厚みを出しています。

 引っ張られている村田屋売り子はうれしそう。
やはり左足先がそりかえり、草鞋の裏を見せて、これまた力がこもっています。




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