2020年7月9日木曜日

的中地本問屋 その26




P.9



P.9 上段後半

(読み)
この
この

おとこ
おとこ

手可゛
てが

者やく
はやく

多ちい多
たちいた

もで う木も
もじょうぎも

いらずとうふ
いらずとうふ

をきるごとく
をきるごとく

とんゝゝ
とんとんとん

とゝゝゝとんと
とととととんと

きつ多り个る
きったりける


「ま奈い多で
 まないたで

本んをきる
ほんをきる

可ら
から

さう
そう

しを
しを

つくる
つくる

とも
とも

いふ
いう

者づ多゛
はずだ

「トンゝ
 とんとん

トゝゝゝトン
とととととん


とととととん


(大意)
この男は手早くなり
裁ち板も定規も使わずに
豆腐を切るように
とんとんとん
とととととんと
切ってしまった。


「まな板で本を切るから
草紙を作るとも
いうはずだ

「トントン
トトトトトン
トトトトトン


(補足)
「手可゛」、「手」のくずし字の下部が「年」のくずし字にそっくりです。
「でう木」、一瞬なんだろうとおもいますが、「じょうぎ」でした。
「とうふ」、ここでは「婦」ではなく「ふ」。
「ごとく」、「ごと」の部分はいつもながら合字です。
「きつ多り个る」、「つ」を「り」と読んでも意味はつうじますが、そのあとの「り」と比べると横に長くてやはり「つ」がよさそう。

「草紙をつくるともいふ者づさ」、「草紙」を「惣菜」にひっかけた洒落なのか、本を食材に見立ててまな板で切るからその製本作業を調理として「草紙を作る」としたのか、よくわからない部分です。

製本工程や職人の賃金などについては以下の文献が詳しい。
「成蹊大学日本文学科 日本探求特別講義B
2012年後期 江戸の本づくり
第4回 本ができるまで 職人の仕事
はしぐち こうのすけ 橋口 侯之介」


0 件のコメント:

コメントを投稿