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(読み)
む可し
むかし
ゝ
むかし
おこ
おこ
さ満
さま
可゛多
が た
ごぞんじ
ごぞんじ
のもゝんじい
のももんじい
尓一人 の
にひとりの
む春めあり
むすめあり
としハ者や
としははや
「む春めこも
むすめごも
もふ者゛けそ
もうば けそ
ふ奈おとし
うなおとし
志゛や▲
じ ゃ
▲可ら本し
からほし
可゛る
が る
所 ハ
ところは
やまゝ さ
やまやまさ
(大意)
むかしむかし、お子様方ご存知のももんじい(という化物)に
一人の娘がいました。
年は早くも
「娘御ももう化けそうなお年じゃから
(嫁に)欲しがるところはたくさんあるさ
(補足)
「お子様方ご存知の」はこの手の本の出だしの決まりセリフ。
「お」と「あ」はにてますが、「丶」の有無でわかります。「(お)こさ満」、「む春め(あ)り」。
「春」(す)と「者」(は)をよく間違えてしまいます。「む(春)めあり」、「としハ(者)や」。
変体仮名「春」は「す」+「て」。変体仮名「者」は「む」の底辺が流れてしまう感じ。
ここの「と」が「8」に見えてしまいますが、文章の流れから判断します。
「志゛や▲」、ここで文章が終わるかとおもうと「▲」でつながって、「志゛や▲可ら」となります。変体仮名「可」(か)はほとんど「う」の形です。「う」にみえるのはほぼ「か」と読んでまちがいありません。
「う」と発音する場合は「ふ」を用います。「も(ふ)」者゛けそ(ふ)奈」。
「可゛る所ハ」、「所」はくずし字。
「やまやま」、現在では「〜したいのはやまやまだけけど」のようにあとに否定的な表現をともなって使います。ここではそのまま「たくさん」「多いさま」の意。
ナマズのような化物でしょうか。
しかし当時も今もこのような人がいるので、とても現実味があります。
ついたての絵ももちろん化物でしょう。
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