2020年6月15日月曜日

的中地本問屋 その2




見返し口上
3行目まで

(読み)
商賣ハ草の種本。書けども盡ぬ。濱乃
しやう者゛いハくさの多年本ん。可けどもつきぬ。者満の
しょうばいはくさのたねほん。かけどもつきぬ。はまの

真砂の志やれ次第。蹉跎次第乃出放多゛以。
まさごのしやれしだい。ふざけし多゛いので本う多゛以。
まさごのしゃれしだい。ふざけしだいのでほうだい。

金の生る木を彫天。小刀細工の銭?盤。
可年の奈る木を本じくっ天。こ可゛多奈ざいくのゼ尓もふけ盤。
かねのなるきをほじくって。こがたなざいくのぜにもうけは。


(大意)
「商売は草の種」というが、(草双紙のネタも)書いても書いてもなくならない。
「濱の真砂」ほどたくさんある洒落をどう使うかによるのだ。ふざけまくったネタはいくらでも出てくる。それらを「金の生る木」の版木に彫りつけて、小刀細工の彫師の銭儲けになれば、


(補足)
 見返しは表紙の裏に絵や見出し文を書いたりする頁です。この黄表紙に見返しはないのですが七五調のような韻で歌舞伎の役者がセリフを語るような調子で記しています。序文になります。

「草の種」を「草双紙」に引っ掛けてます。
「蹉跎」、(ふざけ)とルビにあります。読みは(さた)、つまずく、時期を失するの意味。どちらの漢字も「つまずく」の意。

「銭もうけ」の漢字が不明です。「捷」のようでもありますがわかりません。
その下の「は」は変体仮名「盤」に見えます。

 誰にでも読めるようにくずし字も丁寧に書かれているし、フリガナも振ってあります。それでも、くずし字のもとの楷書の形が初心者には難しい。



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