P.11 3行目まで。「飯能市立博物館所蔵淺海公介家55号文書」
(読み)
候 ニ相 違無之 此方 存 寄 有 之 取 斗 候 義二付不及
そうろうにそういこれなくこちらぞんじよりこれありとりはからいそうろうぎにつき
懸合 二 勝 手次第 可致 猶 又 跡 ゟ 川 下ケ桴 之儀も同様
かけあいにおよばずかってしだいいたすべくなおまたあとよりかわさげいかだのぎもどうよう
取 斗 候 間 可得其意与 案 外 不当之儀申 聞 更二 取敢
とりはからいそうろうあいだそのいうべくとあんがいふとうのぎもうしききさらにとりあへ
(大意)
たことは相違ないとのことでした。われわれには考えがありうまく取りはかろうと
話し合いには応ぜずわれわれのしたいように致し、さらにその後の筏の川下げについても同様で
うまく対処しようとしたものの、そのようにしていることは思いのほか適当でないということを耳にいたしました。さらに差し当たって
(補足)
うーん、この3行は難しく、記している内容の大意をくみとるのも困難です。
なので、わたしの大意はフィクションになっているとおもいます。
飯能市郷土館収蔵資料目録8(収蔵文書目録その3)の史料集現代語訳のこの箇所は
「この件については話し合いにならず勝手ままにするなどとしていたため」としています。
この部分の訳の担当者も苦しんだ様子がわかります。
ややくだいて、想像95%でこの箇所の言わんとしていることはこんなことでしょうか。
番小屋を壊され、筏もバラバラにされ、上荷も河原に散乱されてしまいました。
慌てて駆けつけた荷主や船頭たちは、今後のこともあり(川下りなので必ずここは通らなくてはなりません。迂回路はないのです)、なんとか穏便に対処しようとしました。まぁ早い話が、気持ちの上ではもやもやといろいろな考えがあったのですが、今後のことをおもんばかって泣き寝入りに近い対処であったわけです。ところがそのようにしていたところ周囲からの噂を耳にします。
泣き寝入りは良くない。明らかに不当なのは戸口村の奴らだ。いつまた同じようなことをされるかもしれない。筏仲間からの突き上げがあったのでしょう。仲間からの支持もあることがわかったので、何はさておき、ことの詳細を記し、お役所へ訴訟することにしました。
これで、話の筋は通りそれらしく話が次につながってゆくような気がします。
「此方」これで(こちら)と読むようです。
「存寄」(ぞんじより)、考え、思いつき。「寄」はわかりやすいはずなのですが、ここのは難。
「不及懸合二」、行をまたいでいるので、間違いやすい。「懸」がずいぶんと簡略可されてます。
「勝手次第」、「勝」が難しい。
「跡ゟ」、よく出てきますが、読めそうで今ひとつでした。
「可得其意与」、「得」がわかりませんでした。
「案外」、「案」は「宀」ですが、くずし字は異なっていて悩みます。
「取敢不申」、ここも一行目末と同様、行をまたいでいて間違えやすい。
たった3行なのに、難しい箇所でした、ふぅ〜。