2019年7月22日月曜日

変事出来二付心得覚記 その249




 P.151 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
私   共 江も可咄事    一 切 承    り不申、
わたくしどもへもはなすべきこといっさいうけたまわりもうさず

又 帰 り天も噺 しも無之  猶 又
またかえりてもはなしもこれなくなおまた

左様 之事 ならハ壱 人二而施  し
さようのことならばひとりにてほどこし

又 源左衛門  ゟ 施   二而ハ貰 王んと申  者
またげんざえもんよりほどこしにてはもらわんともうすもの

二者無理二施  しを出スと申  事 二
にはむりにほどこしをだすともうすことに

阿ら須施し  を忝   なしと受 納
あらずほどこしをかたじけなしとじゅのう

之方 江ハ差 出し申  候   乍去   不足
のかたへはさしだしもうしそうろうさりながらふそく

金 千 両  二不足 分 割 合 二相 成
きんせんりょうにふそくぶんわりあいにあいなり

候   上 者何 程 二而も差 出し仲 間
そうろううえはなにほどにてもさしだしなかま

相 成 申  候   と申  候ハヽ  いづれ兵 三 郎 殿
あいなりもうしそうろうともうしそうらわばいづれへいさぶろうどの

も吉 田ゟ 帰宅 可致   間  親 子談 し
もよしだよりきたくいたすべきあいだおやこだんし


(大意)
私などへもそのことについてのお話は一切きいておりません。
また家に戻ってからもそのことについての説明はありませんでした。さらに
そのようなことならばひとりで施します。
また源左衛門よりの施しは貰ないといっている者
には無理に施し金を出すということでは
なく、施しを感謝して受け取る
方へはお渡し致しましょう。しかしながら不足
金千両に足らない分はそれぞれの割合に応じて
行えば、どのようにでも施すことができ仲間と
なれるでしょうと言うので、やがて兵三郎殿
も吉田から帰宅してくることだろうから、親子で相談し


(補足)
 この頁の内容は、代八が寅次郎殿が斯々然々(かくかくしかじか)言っていたということだとおもうのですが、どうも不安であります。次の頁の冒頭に「之上と申事二而代八殿帰り申候」と続きますのでそうだとおもうのですが、ウーン・・・。

 この話の会話の部分の数頁は「私し」が連発されています。それまではこの一人称は珍しかったのですが、どうしたわけでしょうか。とにかく多いです。

「咄」「噺」、1,2行目の隣り合った位置に同じ読みで異なった漢字です。
「猶又」、頻出で二文字セットで覚える。いつもながらこの二文字はまわりより目立つ大きさです。
4行目の「施」は送り仮名「し」がありません。

「忝なし」、くずし字が難。
「受納」、「受」がこれまた難。
7,8行目の「不」のくずし字が異なります。
「分」のくずし字は「彡」+「、」。

 施し金が総額で千両。とんでもない額ですが、過去にも災害や飢饉のときなどこの名栗地区ではたびたび施金していました。それまでは村民が徒党してということはなかったようですが、今回は大変な騒ぎになりお上も出張ってきて、村役人たちの緊張感と対処は今までの比ではありませんでした。


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