P.149 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
二而ハ大 金 左様 之事 ならハ
にてはたいきんさようのことならば
私 者御除 き被下 私 し壱 人二而身之
わたくしはおのぞきくだされわたくしひとりにてみの
分 限 相 應 之施 し以たし候 代 八 殿 申 様
ぶんげんそうおうのほどこしいたしそうろうだいはちどのもうすさま
夫 者私 し壱 人二而取 斗 い多スといふ事
それはわたくしひとりにてとりはからいいたすということ
できつ亦 おまヘハ壱 人二なってよい
できずまたおまえはひとりになってよい
と思 召スかと申 二付 源左衛門 申 様
とおぼしめすかともうすにつきげんざえもんもうすさま
よ以事 もな以可ら醫王 寺江腰
よいこともないからいおうじへこし
弁 当 ニ而一 同 出會 罷 出新 立 弐百 両 と
べんとうにていちどうであいまかりでにったちにひゃくりょうと
被申候 二付 私 しも弐百 両 施 し
もうされそうろうにつきわたくしもにひゃくりょうほどこし
可差出 と申 候ハヽ 小殿 伴 次郎 殿 申 様
さしだすべきともうしそうらわばこどのばんじろうどのもうすさま
鳥 井可゛弐百 両 ならハお連ハ百 五十 両
とりいが にひゃくりょうならばおれはひゃくごじゅうりょう
(大意)
には大金、そのようなことになるならば
私をのぞいてくださって、私ひとりで身の
丈にあった施しをいたしましょう」。代八殿が
「それは私ひとりで決めてよいことでは
ないし、またおまえがひとりでおこなってもよい
とお考えか」というので、源左衛門は
「よいというわけではないので、医王寺へ
腰弁当で皆話し合いのために出かけました。新立が200両出すと
いうので、(それならば)私も200両を施しに
差し出す」と述べましたところ、小殿伴次郎殿が言うには
「鳥居が200両ならば、おれは150両
(補足)
施し金の額をどうするかという頭悩ますやりとりですが、手跡は下書きを確かめながら記したようにどこか淡々としています。
会話文が多いためか平仮名が目立ちます。
3行目「以たし」4行目「い多スといふ事」、一方は変体仮名、もう一方は平仮名、それぞれの使い分けは文章の流れや言葉のつながり、それと筆の運び次第なのでしょうが、それにしてもよく言えばおおまかな感じです。
5行目「おまヘハ」、7行目「な以可ら」、「お」と「な」のくずし字がそっくりです。
「腰」のくずし字、ジッと見つめているとそれらしくみえてきます。
「新立」は町田瀧之助、「鳥居」は平沼源左衛門。
「ならハ、お連ハ」、ここの「な」「お」のくずし字は区別できます。
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