P.147 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
候 と申 候 二付 源左衛門 申 様 私 し斗 り
そうろうともうしそうろうにつきげんざえもんもうすさまわたくしばかり
別 段 二廿 両 差 出ス廉 ハ如何 と
べつだんににじゅうりょうさしだすかどはいかがと
申之 候ハヽ おまヘハ金 廻 しも致 し
もうしそうらはばおまえはかねまわしもいたし
振 合 もよいからと申 候 二付 夫 盤
ふりあいもよいからともうしそうろうにつきそれは
み那 ハ老 木 山 二被立置、
みなみなはろうぼくやまにたちおきされ
私 ハ皆 伐 木 致 家内暮 只 今 ハ
わたくしはみなばつぼくいたしうちくらしただいまは
不残 小 木 二相 成 四 尺 の五尺 の
のこらずしょうぼくにあいなりよんしゃくのごしゃくの
と申 木盤尋 候 程 無之 候 間
ともうすきはたずねそうろうほどこれなくそうろうあいだ
(大意)
とのことで、それに対し源左衛門は「私だけが
別に20両差し出さなければならない理由はなぜなのか」
と問うので、「おまえは金貸しもしているし
羽振りもよいからだ」と(代八)が答えました。(源左衛門が)「それは
皆様方は老木を伐木せずに山にそのままあるが、
私はすべて伐木してしまい、現在は
山の木は残らず小木だけです。4尺や5尺の太さが
ある木はみなさんが思っているほど残ってはいません。
(補足)
なんとか頼むよ源左衛門さんと詰め寄る代八さん、眉間にしわ寄せどうにも困った源左衛門さん、
なんとも重い空気の流れる会話です。
前頁とこの頁は、優しい手跡、性別はわかりませんが平仮名や変体仮名が目立ちます。
「み那ハ」、おおきい「く」のようなのは、「ゝ」(繰り返し)だとおもうのですが。
「家内暮」(うちくらし)としましたが、見当違いかもしれません。「暮」が難。
前後の流れは、皆さんの所の山はぶっとい木が伐木されずに残っているけど、ウチのところは全部伐って施木しちゃって、残っている木はみんな小さい木ばかりなんですよ、4尺5尺の大径木はもう残ってなんかいないんですよ、とこんな感じ。
「名栗の歴史 上」によれば、どのように施木されたかの史料は見つかってないようです。
「夫盤」「と申木盤」、この書き手の癖でしょう、変体仮名「盤」を繰り返しています。
「尺」がすぐにはわかりませんでした。
「尋」、「寸」はきっと左下の最後の一角の「一」。
膝詰め談判はまだ続きます。
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