P.125 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
病 氣故 腰 縄 不申附 差 置 候
びょうきゆへこしなわもうしつけずさしおきそうろう
候得共、 紋 次郎 豊 五郎 一 同 御取 締
そうらえどももんじろうとよごろういちどうおとりしまり
江引 渡 候 旨 被 仰聞 村 役 人 共
へひきわたしそうろうむねおおせきかされむらやくにんども
心 得違 相 弁 奉恐入候 乍併 畄 吉
こころえちがいあいわきまえおそれいりたてまつりそうろうあわせながらとめきち
義者深 く心 配 仕 間敷 、尤 御廻 村
ぎはふかくしんぱいつかまつりまじく、もっともおまわりむら
先 二而御調 之上 別 段 悪 事之廉
さきにておしらべのうえべつだんあくじのかど
有之 候ハヽ 無拠 候得共 、同 人 義者
これありそうらわばよんどころなくそうらえども、どうにんぎは
申 送 りも至而 軽 く候 間 、右 心 得二而
もうしおくりもいたってかるくそうろうあいだ、みぎこころえにて
御廻 村 先 江村 役 人 共 罷 出御糺
おまわりむらさきへむらやくにんどもまかりでおただし
可請 旨 是 又 被 仰渡 、帰村被
うけべきむねこれまたおおせわたされ、きそん
(大意)
病気のため腰縄を申し付けられることありませんでした。
でしたが、紋次郎豊五郎一同をお取締
へ引き渡すことを聞かされましたので、村役人たちは
誤解していたと理解し恐縮いたしました。あわせて留吉
については深く心配致しましたところでございますが、もっともお廻村
先でお調べのことでしょうが、特に悪事をはたらいたふしが
あったとしても仕方なくのことで、本人については
申し送りも至って軽いことでございます。そのような事情を踏まえて
お廻村まで村役人たちは出かけ、尋問を
受けるようにとの旨も聞かされ、帰村するよう
(補足)
「差置候候得共」、よくみるのは「差置候得共」となるはずですが、ここではいったんきってから
接続詞のように「候得共」と続けています。
「御取締」、様が抜けてしまったようです。
「被 仰聞」、ここのところよく出てきます。闕字。
「乍併」(あわせながら)、「乍〜」の表現はたくさんありますが、覚記で「乍併」はこの箇所だけです。
「廉」(かど)、「悪事の廉」のように、悪い事柄の結びつくときに用いられる感じ。
「無拠候得共」、これがよく出てくるかたち。
「軽」の車が「本」や「東」などのくずし字ににてます。
「心得」、ここの得は楷書的ですが、4行目の得がよく出てくるくずし字。
「被 仰渡」、闕字の空白があります。
村役人たちの留吉だけはせめてもとの気持ちがにじみ出る歎願です。
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