2019年6月24日月曜日

変事出来二付心得覚記 その221




 P.123 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
    百  姓
    ひゃくしょう

     畄 吉
     とめきち

右 之毛の儀打 毀  徒黨 江差 加
みぎのものぎうちこわしととうへさしくわわり

候   趣   入御聴  、岩 鼻 御役 所 様 ゟ
そうろうおもむきおききいり、いわはなおやくしょさまより

当 出  役 様 江御引 渡  相 成 候   義之処  、
とうしゅつやくさまへおひきわたしあいなりそうろうぎのところ

一 体 畄 吉 義先 般 徒党 之
いったいとめきちぎせんぱんととうの

毛の共 二被申威    、無余儀 飯 能 村
ものどもにもうしおどされ、よぎなくはんのうむら

ゟ 罷  出候   、出先 二而全   病  氣故
よりまかりでそうろう、でさきにてまったきびょうきゆえ

帰宅 及延引     候   を不弁   、其 段
きたくえんいんにおよびそうろうをわきまえず、そのだん

村 役 人 共 ゟ 同 御役 所 江申  立
むらやくにんどもよりどうおやくしょへもうしたて

候   義二而、同人  者素(モト)ゟ 実 体 柔  和
そうろうぎにて、どうにんはもと   よりじっていにゅうわ


(大意)
           百姓 留吉
右の者は打ち壊し徒党に加わった
様子であると耳にし、岩鼻御役所様より
当出役様へ引き渡せとのお達しでございますが
もともと留吉は先だって徒党の
者どもにおどされてしまって、やむを得ず飯能村へ
出かけてしまったのでございます。その出先で完全に病気になってしまい
帰宅が遅れてしまったことを弁明できませんでした。そのことについて
村役人より同お役所へ申し上げ
ましたことにつきましての内容です。本人は普段より実直で穏やかな


(補足)
 書き手が変わったようです。
「趣」のくずし字の形が今までとは異なります。「処」もこの前の頁では「處」でした。
また「入御聴」など言い回しの表現も異なってます。

「聴」、今までに出てきましたっけ。全文検索してみたら、この箇所とP.129にあるだけでした。
「一体」、今までに何度も出てきます。この「体」のくずし字は「身」+「本」です。
「体」の旧字は「體」ですが、ここでは「躰」。このあとの「実体」(じってい)も同様。
「申威」(もうしおどす)、「威」は楷書みたいに丁寧です。この表現はP.117にありこの覚記の中ではこの2箇所だけです。P.117では源左衛門さんの手跡だとしたのですが、ここではそうではないような気がするとしました。よくわからなくなってきました。(泣)
「故」、「m」のようなくずし字もありますが、ここでは最後に「一」があります。
「同 御役所江申立」、闕字があります。必ずあるというものではなく気分次第という感じです。
「素」(モト)と振り仮名があります。こんなところで振れるのなら、他でももっと振っておいてほしかった。
「実体」(じってい)、実直、まじめで正直なこと。


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