P.115 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
差 出し可申 趣 被仰聞 二付 、書 付
さしだしもうしべくおもむきおおせきかされにつき、かきつけ
御覧 被成 、是 ハ歎 願 書 二有之 候 、
ごらんなされ、これはたんがんしょにこれありそうろう
左様 二御座候 、奥 二継 書 相 成 候 分
さようにござそうろう、おくにつぎがきあいなりそうろうぶん
両 人 計 り御座候 、御出 役 様 被仰聞、
りょうにんばかりござそうろう、ごしゅつやくさまおおせきかされ
村 役 人 共 申 事 相 違 もあるまへが、
むらやくにんどももうすことあいちがいもあるまへが
当 方 引 渡 相 成 候 上 ハ、腰 縄 之者
とうかたひきわたしあいなりそうろううえは、こしなわのもの
本 縄 二相 成 、腰 縄 無 之分 ハ
ほんなわにあいなり、こしなわなしのぶんは
腰 縄 申 付 、府中 宿 江差 送 り
こしなわもうしつけ、ふちゅうしゅくへさしおくり
候 間 、村 役 人 両 人 附 添 可罷出
そうろうあいだ、むらやくにんりょうにんつきそいまかりでべく
(大意)
差し出すようにとお聞きいたしましたので、(お渡しし)書付を
ご覧なされました。これは嘆願書であろう。
そのようであろう。(書付の)最後に書いてあるように
両人だけに限ってのことであろう。ご出役様から(そのようなことを)お聞きいたしました。
村役人たちの申していることも違っていることはなかろうが
当方へ引き渡しになった上は、腰縄の者は
本縄になり、腰縄なしの者は
腰縄付きを申し渡す。府中宿へ護送することに
なるので、村役人の両人は付き添ってゆくようにと
(補足)
「被仰聞」(おおせきかされ)、定型文のように頻出です。「は、はぁーとお上から聞かされた」が直訳になり、その場面も時代劇などでよく目にするところです。どうもしっくりきませんので大意のように意訳しています。
「奥二継書相成候分」、正確に直訳できませんでしたので、ここも意訳です。
「奥」のくずし字、意外とよく出てきます。
「継」はやはり難しい。形で覚えるしかなさそう。
「分」のくずし字は「彡」+「、」ですが、ここのはちょっとわかりずらい。この4行後ではちゃんと書かれています。
「両人」、4行目と最終行に出てきてますが、今までの手跡とは異なってます。
この辺のページはどことなく元気がありません。書き手が変わったようです。
村から3名を護送してきました。ご出役様とやり取りしていると、どうも様子が緊迫してきておかしなことになってきました。
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