2019年6月13日木曜日

変事出来二付心得覚記 その210




 P.115 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
差 出し可申   趣   被仰聞    二付 、書 付
さしだしもうしべくおもむきおおせきかされにつき、かきつけ

御覧 被成 、是 ハ歎 願 書 二有之  候   、
ごらんなされ、これはたんがんしょにこれありそうろう

左様 二御座候   、奥 二継 書 相 成 候   分
さようにござそうろう、おくにつぎがきあいなりそうろうぶん

両  人 計 り御座候   、御出  役 様 被仰聞、
りょうにんばかりござそうろう、ごしゅつやくさまおおせきかされ

村 役 人 共 申  事 相 違  もあるまへが、
むらやくにんどももうすことあいちがいもあるまへが

当 方 引 渡  相 成 候   上 ハ、腰 縄 之者
とうかたひきわたしあいなりそうろううえは、こしなわのもの

本 縄 二相 成 、腰 縄 無 之分 ハ
ほんなわにあいなり、こしなわなしのぶんは

腰 縄 申  付 、府中  宿  江差 送 り
こしなわもうしつけ、ふちゅうしゅくへさしおくり

候   間  、村 役 人 両  人 附 添 可罷出
そうろうあいだ、むらやくにんりょうにんつきそいまかりでべく


(大意)
差し出すようにとお聞きいたしましたので、(お渡しし)書付を
ご覧なされました。これは嘆願書であろう。
そのようであろう。(書付の)最後に書いてあるように
両人だけに限ってのことであろう。ご出役様から(そのようなことを)お聞きいたしました。
村役人たちの申していることも違っていることはなかろうが
当方へ引き渡しになった上は、腰縄の者は
本縄になり、腰縄なしの者は
腰縄付きを申し渡す。府中宿へ護送することに
なるので、村役人の両人は付き添ってゆくようにと


(補足)
「被仰聞」(おおせきかされ)、定型文のように頻出です。「は、はぁーとお上から聞かされた」が直訳になり、その場面も時代劇などでよく目にするところです。どうもしっくりきませんので大意のように意訳しています。
「奥二継書相成候分」、正確に直訳できませんでしたので、ここも意訳です。
「奥」のくずし字、意外とよく出てきます。
「継」はやはり難しい。形で覚えるしかなさそう。
「分」のくずし字は「彡」+「、」ですが、ここのはちょっとわかりずらい。この4行後ではちゃんと書かれています。
「両人」、4行目と最終行に出てきてますが、今までの手跡とは異なってます。
この辺のページはどことなく元気がありません。書き手が変わったようです。

村から3名を護送してきました。ご出役様とやり取りしていると、どうも様子が緊迫してきておかしなことになってきました。


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