P76 東京国立博物館蔵
(読み)
中 足 ハ履(クツ)なし春足 なり之 ハ柱 ヘ能ほり
ちゅうあしは くつ なしすあしなりこれははしらへのぼり
帆綱 を渡 ル故 なる歟此 者 陸 ヘあから春゛只
ほづなをわたるゆえなるかこのものおかへあがらず ただ
舩 中 能ミ尓暮 春事 なり此 マタロス帆綱 より
せんちゅうのみにくらすことなりこのまたろすほづなより
帆津な尓渡 里軽 王さをし水 中 へも入 事 妙
ほづなにわたりかるわざをしすいちゅうへもはいることたえ
なり黒 坊ハ其 王ざ一 向 尓出来春゛石 火矢ハ
なりくろんぼはそのわざいっこうにできず いしひやは
毎 朝 一 ツ放 ツ事 也 亦 祝 事ニハ二 ツ三 ツも放 ツ
まいあさひとつはなつことなりまたしゅくじにはふたつみっつもはなつ
是 ハ日本 火を打ツて浄(キヨ)メル如 し舩 を動 春
これはにほんひをうって きよ めるごとしふねをうごかす
為(タメ)尓打ツなど云フハ長 崎 者 能うそ話 しなり
ため にうつなどいうはながさきもののうそばなしなり
舩 ハ六 月 着 岸 して八 月 出 舩 春ると雖 モ新(シン)
ふねはろくがつちゃくがんしてはちがつしゅっこうするといえども しん
かひ多ん古 かび多ん能勘 定 其 外 取 合 とくと
かぴたんふるかぴたんのかんじょうそのほかとりあいとくと
(大意)
略
(補足)
「勘定」、『⑦ 考え定めること。かんてい。「ただ身ひとりの上を―すべし」』
「舩ハ六月着岸して八月出舩春る」、季節風の関係で大型帆船はほとんどがこの時期しか航海できませんでした。
「長崎者能うそ話しなり」、自分はオランダ船に乗り、カピタンとも友人でいろいろ聞き及んでいるので、地元の人も知らないことを知っているのだと鼻高々自慢しています。彼の辞書には謙虚という言葉はなさそうです。船に乗れるよう手配してくれたのは長崎者ですよ。
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