P71 東京国立博物館蔵
(読み)
え津き入 ル事 なりとて此 かひ多んハ当 年 初 メ
へつきいれることなりとてこのかぴたんはとうねんはじめ
て参 候 者 ニて餘 リ懇 意ニなし夫 より出嶋 を出テ
てまいりそうろうものにてあまりこんいになしそれよりでじまをいで
个る吾 等ニ付 添ヒ来 ル者 三 人 皆 長 崎 者 ニて
けるわれらにつきそいきたるものさんにんみなながさきものにて
一 向 おらん多人 をミ多る事 なし尤 も此 出嶋
いっこうおらんだじんをみたることなしもっともこのでじま
蘭 人 居所 ハ一 向 入 ル事 なら春吾 カ蘭 人 と物
らんじんいどころはいっこうはいることならずわれがらんじんともの
談 ヲ春るを見て誠 ニ肝(キモ)を津婦し其 上 かひ多ん
かたるをするをみてまことに きも をつぶしそのうえかぴたん
と知ル人 なりとあれハ何 と云 人 と者なし合へり
としるひとなりとあればなんというひととはなしあえり
とぞ長 崎 の者 ハ唐 人 ハ見れど蘭 人 ハ見多
とぞながさきのものはとうじんはみれどらんじんはみた
る事 なし佛 参 など皆 駕籠ニ能りて行ク
ることなしぶっさんなどみなかごにのりてゆく
故 なり夫 故 尓訳(ワケ)を知らぬ者 ハ今 ニても奇(キ)
ゆえなりそれゆえに わけ をしらぬものはいまにても き
(大意)
略
(補足)
右側の頁の左下隅にあるのは「卅」。十(10)廿(20)卅(30)。丁数です。
「参候」、小さく「人」のような形の字が「候」のくずし字というか略字。「丶」のときもあります。
「夫より出嶋を出テ个る」、西遊旅譚三に出島の画があります。
方角が入っているので、長崎の街に対してどのような位置にあるかがわかります。
「尤も」、このくずし字もよく出てきます。
出島に入って、オランダ人と歓談したり、さらにはカピタンと知り合いでいかにも親しそうに話す様子を見て、まわりの通詞などが驚き、江漢さんが鼻高々で胸をはってそり返っている姿が目に浮かびます。
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