P1 東京国立博物館蔵
(読み)
廿 九日 天 氣昼 ヨリ勝 木利 助 方 ヘ参 ル同 道 シテ
にじゅうくにちてんきひるよりかちきとしすけかたへまいるどうどうして
ブタ煮て商 フ家 アリと云 故 尓行 シニなし夫
ぶたにてあきなういえありというゆえにゆきしになしそれ
より何 ヤラ埒 もなき人 能家 尓入 り寺 能隠 居
よりなにやららちもなきひとのいえにはいりてらのいんきょ
能様 なる者 と酒 を呑ミ利助 大 酔 して夜半
のようなるものとさけをのみりすけおおよいしてやはん
宿 へ帰 ル尓利助 ハう多をう多ひ酔 てた王ひなし
やどへかえるにりすけはうたをうたいよいてたわいなし
一 向 尓帰 り路 知れ春゛夜半 路 を聞ク人 なし誠
いっこうにかえりみちしれず やはんみちをきくひとなしまこと
尓迷 惑 し然 共 生 酔(ナマヨイ)本 性 多か王春゛とて
にめいわくししかれども なまよい ほんしょうたがわず とて
竟 尓宿 ニ帰 りぬ夜更(ヨフケ)个連ハ利助 方 ニ泊 ル
ついにやどにかえりぬ よふけ ければりすけかたにとまる
晦 日天 氣玉 屋と云 ビイドロ細 工能処 へ行キ板 ヒイ
みそかてんきたまやというびいどろざいくのところへゆきいたびい
トロノ伝 授 春酒 吸 物 硯 婦多を出春硯蓋(フタ)
どろのでんじゅすさけすいものすずりぶたをだす ふた
(大意)
略
(補足)
「廿九日」、天明8年10月29日。西暦1788年11月26日。
「晦日」、『みそか【晦日・三十日】
① (「晦日」と書く)暦の月の最後の日。月末。
② 日の数三〇。また,連続したその期間。さんじゅうにち。「日の経ぬる数を,けふいくか,はつか,―と数ふれば」〈土左日記〉
③ 暦の月の三〇番目の日。さんじゅうにち。「十一月の―ばかりより急ぎ給ふ」〈落窪物語〉』
「ビイドロ細工能処へ行キ板ヒイトロノ伝授春」、長崎ではビイドロ絵(ガラス絵)はおそくとも安永(1772〜80)の頃には始められ、長崎人制作の絵が唐人屋敷やオランダ屋敷へ持ち込まれたといわれている。ここで伝授された江漢は、はやくも帰路、2月9日には岡山の知人宅でビイドロ絵をかいている。とありました。
「硯蓋」、『すずりぶた【硯蓋】
① 硯箱の蓋。昔は,いろいろの物をのせるのにも用いた。
② 祝いの席などで,口取りの肴(さかな)をのせる盆状の器。また,それに盛った肴。八寸』
長崎へは画の修行のためでありましたが、じつはさほどの学びもありませんでした。しかしまずは一番最初のビイドロ絵をものにして、満足であったはずであります。
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