P68 東京国立博物館蔵
(読み)
綿 能赤 キ色 能物 ニて包 ミ髭(ヒゲ)ハなし辞(コトハ)
めんのあかきいろのものにてつつみ ひげ はなし ことば
ハ天 竺 ことハニして蘭 人 ニも不通 甚 タキタナ
はてんじくことばにしてらんじんにもつうじずはなはだきたな
キ者 なり夫 よりかび多ん部屋へ行ク畳(タゝミ)
きものなりそれよりかぴたんべやへゆく たたみ
二十 デ ウも敷(シキ)四方 ランマ下 尓ビイドロ尓描(カキ)
にじゅうじょうも しき しほうらんましたにびいどろに かき
多る額 を掛ケ並 ヘ下 ニハ倚子(イス)を並 ヘ倚子毎(コト)
たるがくをかけならべしたには いす をならべいす ごと
尓唾子(タコ)とて津ハ吐キ之 ハ銀 ニて竪(タテ)二尺(シャク)程 ニて
に だこ とてつばはきこれはぎんにて たて に しゃく ほどにて
花瓶(クワヒン)能如 し畳 能上 ニ毛 せんの如 キ花 を
か びん のごとしたたみのうえにもうせんのごときはなを
織(ヲリ)多る物 をしき天 上 ノ中 尓ビイドロニて作 る
おり たるものをしきてんじょうのなかにびいどろにてつくる
瑠理(ルリ)燈 を釣リ向 フ尓紅 キ幕(マク)能下ケ多る書
るり とうをつりむこうにあかき まく のさげたるしょ
斉(サイ)能如 キ処 アリ障子(ショウジ)皆 ビイドロヲ以 テ張ルかひ多ん
さい のごときところあり しょうじ みなびいどろをもってはるかぴたん
(大意)
略
(補足)
「髭」、「長」も「此」も、単独で使うときと同じくずし字になっています。
「かび多ん部屋」、西遊旅譚三に詳細なカピタン部屋の画があります。
ここの文章に説明されている物はすべて描きこまれていて、順に目を移してゆくとこれまた現在のカメラのパンでながしてゆくようであります。
「倚子」、椅子。
「唾子」、『だこ【唾壺】
① 唾を吐き入れるつぼ。たんつぼ。② タバコ盆の灰吹き。吐月峰(とげつぽう)』
「ビイドロ」、ガラスのこと。
「天上」、天井。
「瑠理(ルリ)燈」、『るりとう 0【瑠璃灯】
① ガラスの油皿を中に入れた六角形の吊灯籠(つりどうろう)。「亭(ちん)に雪舟の巻竜銀骨の―をひらかせ」〈浮世草子・日本永代蔵•3〉
② 歌舞伎・文楽で用いる照明具。面に直角な板をつけた四角い小板にろうそくを立てたもの。大道具に打ちつけたり,並べて下げたりする。多分に装飾的』
カピタン部屋の見取り図は、江漢さんは西洋画から学んだ遠近法をとりいれて、精緻そのもの。しかしどことなくまだ自分のものになってないような感じで全体に硬い。
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