2023年8月31日木曜日

桃太郎発端話説 その8

P2P3東京都立図書館蔵

P3

(読み)

そのと奈り尓ひとの

そのとなりにひとの


せん多く奈として

せんたくなどして


ミの多つ起とする

みのたつきとする


やもめくらしの

やもめくらしの


けんどん者゛ゝあり

けんどんば ばあり


と奈りの志やうじき

となりのしょうじき


あくぬ起尓も尓ず

あくぬきにもにず


いろくろく本年

いろくろくほね


ふとくあくハ多く

ふとくあくはたく


さん尓てよくで

さんにてよくで


志めこむひ本゛可ハの

しめこむひぼ かわの


うんどんぐとん奈

うんどんぐどんな


うまれ尓てつ年尓

うまれにてつねに


和さびおろしの

わさびおろしの


め尓可ど多て

めにかどたて


いやミうらみ可゛

いやみうらみが


ゑてもの於ろし

えてものおろし


多゛いこんふと志るし

だ いこんふとしるし


とうがらしのふさ\/

とうがらしのふさふさ


し起お者ゝ尓てぞ

しきおばばにてぞ


あり个る

ありける

(大意)

 その隣に人の洗濯などをして生活しているやもめ暮らしの

強欲でケチなババアが住んでいました。

悪とは無縁な隣の正直爺とは似てもいず、色黒く骨は太く、

心は悪で沢山でした。

 欲でしめこんだ紐革(ひもかわ)のような饂飩(うどん)愚鈍の生まれで、

いつもわさびおろしの細かい目のようなことにも目くじらをたて、

嫌味や辛味がしょっちゅう口をついて出る。

目の荒い大根おろしでおろしたブツブツのおろしのように食えたもんじゃない。

唐辛子が赤い房をたくさんつけたような厚かましい、

お婆であった。

(補足)

 かすれもおおく、読めても意味がすぐにはわからないところがこれまたおおく、何度も読み返さねばなりませんでした。読めて意味がわかるところつなげていって、読めなかったところ意味が不明だったところがようやくなるほどとおもいつつ、読みすすめます。

「ミの多つ起」、「ミ」の右側に「丶」があって、「ミ」と読めませんが、前後の流れから意味として「身」の意味ですから、「丶」はまちがいか?変体仮名「身」かもしれません。

「と奈りの」、「奈」がわかりずらい。

 洗濯がババアの仕事なので、石鹸に相当する灰汁(あく)を悪(あく)にひっかけてしゃれているところが随所にあります。

 途中から調子良く講談調になります。ひもかわはもちろん饂飩の平たいもので、革の紐に、そんなものはババア同様食えたもんじゃない。

そのヒモカワを食するときの薬味にわさび、大根おろし、七味唐辛子とひっかけをつづけます。

 正直爺さん座る縁側はよくみると、縁側支えの柱が角柱ではなく細い丸太です。あまり目にしたことはありませんが、実際にあったのでしょうか。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿