P2P3 東京都立図書館蔵
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(読み)
〽奈んとお者゛ゝやけのゝきゞすよる能
なんとおば ばやけののきぎすよるの
つる者多けのさといもむつの者ら
つるはたけのさといもむつのはら
こを思 王奴ものハ奈いこちらハ
こをおもわぬものはないこちらは
古のとし尓奈つてこの奈いといふハ
このとしになってこのないというは
てんとこゝろ本゛そいことでハお志゛やら奴可
てんとこころぼ そいことではおじ ゃらぬか
〽お者゛ゝや者奈しどり
おば ばやはなしどり
奈らバそんをして
ならばそんをして
もうつてやる可゛
もうってやるが
与いぞや
よいぞや
〽され者゛いの
されば いの
きぢ いぬ さる
きじ いぬ さる
(大意)
「なんとものぉ、お婆よ、焼野の雉は子をかばい、夜の鶴は子をかこう、
畑の親里芋だってたくさんの子いもを養う、鯥(むつ)のハラコもそうじゃ、
子をおもわぬものはない。うちらはこの歳になって子がないというのは
なんとも心細いことじゃのぉ」
「お婆や、放し鳥ならば、損をしてもよいから売ってやるがよいぞ」
「そうするのがよかろうのぉ」
(補足)
「やけのゝきゞすよる能つる」、一読して???。読み進めると親の子を思う気持ちと表現かなと。さらに調べると辞書にありました。
『焼け野の雉(きぎす)夜の鶴(つる )
巣のある野を焼かれると雉子(きじ)は身の危険を忘れて子を救い,寒い夜,巣ごもる鶴は自分の翼で子をおおう。子を思う親の情が非常に深いたとえ。』
じじいになっても無教養なのがなさけない。
「こを思王奴」、「思」のくずし字はよくでてきますが、ここのはさらにくずされている感じ。この行から最後まで「こ」と「て」と「と」の区別がやっかい。「てんと」の「て」が「と」にもみえて、それでも意味が通じそうです。
いぬがニコニコとかわいらしい。鳥かごや雉の入っている檻、その上の籠のような入れ物はなんの動物をおさめるのでしょう。
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