P30P31 国立国会図書館蔵
(読み)
〽せミのぬけ可らとち可゛ひ
せみのぬけがらとちが い
人 魚 のぬけ可らハめづらし个れバ
にんぎょのぬけがらはめずらしければ
こ連をきくす里やへうり
これをきぐすりやへうり
平 二可き年のそとの金 を
へいじかきねのそとのかねを
もう个る
もうける
よいとき尓ハ
よいときには
よい事 者゛可り
よいことば かり
ふき付 るもの奈り
ふきつけるものなり
P31
〽ゆくすへ
ゆくすえ
とも尓
ともに
まもるべし
まもるべし
可奈ら須
かならず
う多可゛ふ
うたが う
事 奈可れ
ことなかれ
志可し
しかし
あて尓も
あてにも
する事
すること
奈可れ
なかれ
ドロン\/
どろんどろん
ドロ\/\/\/
どろどろどろどろ
(大意)
蝉の抜け殻とちがい人魚の抜け殻は珍しく
これを生薬屋へ売り、平次はもうひともうけをした。
良いときには良いことばかりが続くものである。
(浦島)「これから先は夫婦ともに手を取り助け合いなさい。
疑うことなどもってのほか。しかし、頼りきってもいけないよ。」
どろどろどろん。
(補足)
桃がふたつに割れてあらわれた桃太郎を意識したかどうかはわかりませんが、
人魚の抜け殻がわれて、あらわれたような構図です。
平次の前の玉手箱から立ち上るのは白い煙。浦島太郎と奥さんの鯉(人魚の母親)は科白とともに大きな吹き出しの中にあって、異世界からあらわれたような光景になっています。
この版では、浦島太郎が髭をはやしています。いたずら書きかな・・・