2021年4月22日木曜日

豆本 開化地獄論後編 その12

P8P9

(読み)P9上段

多とう可゛

たとうが


よくおきゝ

よくおきき


わ多し奈んぞハ

わたしなんぞは


学 校 へ由可

がっこうへゆか


奈いから

ないから


むづ可しい事 ハ

むずかしいことは


志ら奈い可゛

しらないが


年 尓二どの

ねんににどの


おさい日 尓ハやどいりを

おさいじつにはやどいりを


春るのハ地ごくの

するのはじごくの


可まのふ多可゛あくとて

かまのふたが あくとて


あそぶのハゑんま

あそぶのはえんま


さんのあるお可げ

さんのあるおかげ


おまへさん多゛とて

おまえさんだ とて


(大意)

(お腹も)立ちましょうが

よくおききくださいな。

わたしなんぞは

学校へ行かないから

難しいことは知りませんが

年に2度の祭日に宿入りするのは

地獄の釜の蓋が開いたとしても

遊ぶことができるのは

閻魔さんがいるおかげですよ。

おまえさんだって


(補足)

「奈いから」、平仮名「か」はたまにつかわれます。

「事」が変体仮名「奈」や平仮名「る」にみえます。

「可ま」、「うま」ではありません。変体仮名「可」は「う」とほとんど同じで、大小様々。

 割って入った丁稚を中心に三人の視線は一直線に並びます。丁稚の右袖がやけにでかいです。

 

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