2021年4月7日水曜日

豆本 開化地獄論前編 その10


P8P9見開き

(読み)

心  尓もやしまよい

こころにもやしまよい


くるしむことを

くるしむことを


焔 魔といふと可

えんまというとか


それ由へ地獄 とハ

それゆえじごくとは


国 の奈でハあります

くにのなではあります


まい▲

まい


▲もしま多く尓の

 もしまたくにの


名奈らバこの

なならばこの


日本 可ら奈んの

にほんからなんの


可多にあ多つて

かたにあたつて


(大意)

心に燃やし迷い

苦しむことを

焔魔(えんま)というのだそうです。

それゆえ地獄とは

国の名であるということは

ないのです。


もしまた、国の

名であるならば

この日本からどちらの

方角にあって


(補足)

 子どもが片腕まくってげんこつ握って、口はへの字、大王にひるむことなく挑む。たのもしい。

古文書を読み始めたとき「心」のくずし字が読めませんでした。もう読める字になっていたはずですけど、これは何と読むのだろうとおもってしまうていたらく、情けない。

「こと」、合字です。「ゟ」(より)のようなフォントがありません。

「国」のくずし字はいろいろあります。ここでは「乙」の途中で筆をクルッとまわして、仕上げに両側に点ゝ。

 子どもの背景は血の海、そのまわりはトゲトゲだらけ。

場所は地獄なのでしょうけど、全体の色調はやけに明るい。

 

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