2021年4月5日月曜日

豆本 開化地獄論前編 その8

P6P7見開き

(読み)

わ多し可゛

わたしが


あると起

あるとき


学 校 の

がっこうの


きやうし

きょうし


さん尓

さんに


きゝ

きき


まし多可゛

ましたが


地ごくとハ

じごくとは


世界 尓奈き

せかいになき


もの奈り

ものなり


其 身尓くるしミを

そのみにくるしみを


うくる者 をぢごくの

うくるものをじごくの


くるしミといゝ

くるしみといい


(大意)

わたしがあるときに

学校の教師さんに

ききましたが、

地獄とは世界にはないものです。

人のその身に苦しみを受けている者を

地獄の苦しみといい、


(補足)

 読みづらいところはなさそうです。

しかめっつらで子どもの話に耳を傾けている閻魔様、恐れる素振りが微塵も感じられず、大王にからだを傾けながら学んだばかりのことを語る子どもの姿。二者の視線は空中で火花をちらしています。閻魔様の背後には立派な浄玻璃の鏡があります。襖の廻り縁や部屋の柱や敷居には朱塗りできっと漆でしょうか、さすがに大王の部屋、立派であります。頭に巻いている鉢巻に「王」の飾りがなかったら五月人形にならんで飾る、鍾馗様になってしまいます。

 

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