2021年4月23日金曜日

豆本 開化地獄論後編 その13

P8P9

(読み)P8下段

そのとおりでハ

そのとおりでは


奈い可だれも

ないかだれも


あそび多いハ

あそびたいは


お奈じこと多゛

おなじことだ


可らまア由るして

からまぁゆるして


おやん奈さい

おやんなさい


ゑんまさんも

えんまさんも


地ごくといふ

じごくという


国 可゛ある

くにが ある


奈んぞと

なんぞと


うそを

うそを


つくと

つくと


それそ

それそ


P9下段

こ尓

こに


ある

ある


(大意)

お前さんだってそのとおりではないか。

誰もが遊びたいのは同じことだ。

だからまぁ許しておやんなさい。

閻魔さんも地獄という国があるなんぞと

ウソをつくとそれそこにある

(補足)

 丁稚が両者を言い含めることばが、どこかのご隠居さん風にきこえます。

虫食いの跡がきれいにのたくってますが、なんとか読むことはできます。

「だれも」、だんだん平仮名「た」がつかわれる割合が多くなってきているようです。

「あ」と「お」のかたちも、はっきりと別物になってきてます。

「うそ」、平仮名「う」が「う」にみえなくて、変体仮名「可」のほうが「う」にそっくりです。

丁稚をはさんで、右上がりの勢いのある小僧、かたやもうしぼんでしまって消えてしまいそうな閻魔さん、明治の時代の象徴です。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿