2020年11月25日水曜日

豆本 花さ起ぢゝい(小林英次郎)その15

P.9上段

(読み)

▼その

 その


者い

はい


奈りと

なりと


もらハんと

もらわんと


ざるをもつて

ざるをもちて


者いを

はいを


もら■

もら


■いて

  いて


たち可へり

たちかえり


个る

ける


(大意)

その灰だけでも

もらおうと

ざるを持ってきて灰をもらって

家へ帰りました。


(補足)

「もらハんと」、「ハ」は「わ」にも見えます。

「ざる」、「る」が普通の平仮名です。最後の「个る」も同じ。

「たち可へり」、変体仮名「多」ではなく平仮名「た」。

P8P9見開き

オイオイ嘆き悲しみ涙いっぱいの正直爺としらんプリンの欲張りじじいの対比が愉快です。

欲張りじじいの右足の親指が持ち上がっています。足裏を囲炉裏の火で温めながら親指を無意識に動かしていそうです。

蒸籠を燃してしまった囲炉裏の火力の立ち上がり方が凄まじい、キャンプファイヤー以上であります。鍋を吊るしている自在鉤・横木・鉤棒が正確に描かれています。

一部屋の土壁が正直爺の背景はやや明るい黄土色、欲張りじじいのは暗い青い色と、異なっています。爺の性格を反映させたのでしょうか。


 

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