P.11
(読み)
ひとゑ多゛
ひとえだ
さ可
さか
せて
せて
ミろ◆
みろ
◆とおゝせ尓
とおおせに
者奈を
はなを
さ可せし
さかせし
ゆへ■
ゆへ
■ご
ご
本うび
ほうび
をい多ゞ
をいただ
いて
いて
(大意)
花をひと枝咲かせてみろ」
と仰せになられました。
花を咲かせたので
そのご褒美をいただき
(補足)
なんとも華やかな晴れがましい絵です。右手で灰を撒き散らし、そのかかげた手のひらのうしろからは後光がさしているようで、にこやか満ち足りた正直じいさんの顔の大きさと同じくらいにいっぱいに広げられています。読者の方にまで灰が降り掛かってきそうです。その手のひらより顔と上半身がやや奥にさらに下半身が奥まり、遠近感が感じられます。左脚は小枝にかけ、右脚は太ももまでしか描かれていません。脛(すね)と足は幹にしっかりと踏ん張り突っ張っている力具合が伝わります。こんなアクロバット的な態勢をとることができる爺さん、とても元気なのでした。
「ひとゑ多゛」、「ゑ」が変体仮名「志」(し)にもみえます。
小林英次郎の特徴は太い黒線で輪郭線をはっきりしっかり描き、色も隅々にまでのせます。しかし花の部分はさすが輪郭線はありません。花の集まりを赤で塗り、小枝は細い黒線で数本、花は白を散りばめています。
P10P11見開き
見開き中央の爺さんが左脚をかけている枝ぶりが奥に伸びているように描いています。画面中央がちょうど遠近点になっているような感じです。そしてさらにその右奥下のほうにやや小さくなった殿の一行を描き、奥行きを深めています。
奥の山の手前の青い部分は川に見えますが、なんでしょうね。
見開きで見ると一幅の絵であります。家の中に飾れば毎日花見ができます。いや〜かんしんかんしん。
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