P.8
(読み)
又 よく
またよく
者゛りぢゝ
ば りじじ
可りてもちを
かりてもちを
つ起ける尓ミ奈
つきけるにみな
き多奈起
きたなき
ものと奈りし可バ
ものとなりしかば
(大意)
又、欲張り爺が借りて餅をついたところ
全部汚い物になってしまったので
(補足)
「者(は)」と「春(す)」のくずし字をよく間違えてしまいます。
「者(は)」のくずし字は「む」の下側が流れて右下がりになるような感じ、
「春(す)」のくずし字は「十」+「て」のような感じです。
句読点もなくまた不自然に行をまたいで言葉が続いたりでわかりにくのですが、助詞としてつかわれる「尓(に)」が文章の区切れであることが多いようです。
「いぬ【尓】そ奈へんとせし【尓】」、「可りてもちをつ起ける【尓】ミ奈」など。
またカタカナの「バ」(〜すれば、〜したので)も区切りの目安になります。
うん十年前、高校生のとき、京都は宇治、萬福寺で一切経の版木を見たときの感動は今も忘れません。桜の版木に整然と少しもすり減ってなく勢いと力がり、文字に触れる指先が切れそうなくらいキレのあるものでした。鉄眼和尚の執念です。
この豆本は木版多色刷りで5色くらいつかってます。5枚彫らなければならないことになります。
豆本の版木はきっとよく目にする錦絵の大きさの板に2,3頁分くらいいっぺんに彫るのでしょうか、見てみたいものです。
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