P.1 最初〜7行目
(読み)
む可しゝ
むかしむかし
ある可多い奈可
あるかたいなか
尓正じ起
に正じき
奈ぢゝ
なぢぢ
者゛ゝあり
ば ばあり
このうち尓いつ
このうちにいつ
ひ起のこいぬ
ひきのこいぬ
(大意)
むかしむかし、ある片田舎に正直な爺と婆がおりました。
この家で一匹の子犬を
(補足)
変体仮名がたくさん出てきますが、使われる字はそれほどたくさんあるわけではないので
すぐに慣れるはずです。
「か」(可)の変体仮名はひらがなの「ろ」や「う」のようになります。そしてまわりの字より小さい。
「た」(多)の変体仮名は独特で、似ているひらがなはなさそう。「さ」の一画目を除いたのに似てないこともない。
「な」(奈)、変体仮名に使われる漢字は通例ふたつみっつあって、なおさらこんがらがるのですが、そのつど調べるのが一番です。
「に」(尓)、助詞の「に」はほとんどの場合「尓」が使われいます。
「正」、ここでは漢字「正」のくずし字。
「き」(起)、「紀」のように見えますが、「糸」偏ではなく「走」偏です。
「は」(者)、「者」のくずし字は助詞の「は」として頻出ですので、一層簡略化されてます。
「ぢぢばば」、「゛」がなければ「ちちはは」となってしまいます。「ちちはは」にシワ(濁点)がふえれば「ぢぢばば」になるのです。
「いつひ起の」、「つ」は促音になるので小さくなるはずですがこの時代ではそのままです。「ひ」は「ぴ」と「°」がつくはずですが、これもこの時代はそのまま。
それにしてもきれいな色使いです。
歌舞伎の舞台や役者の衣装の色模様は錦絵の色使いの元になるもので、歌舞伎役者が見得を切ったときをそのまま錦絵にして当時は写真やブロマイドの代わりとして販売していたのでしょう。
歌舞伎は動く錦絵です。
ワンコはちっとも子犬ではなく丸々肉付きよくとても可愛がられているようです。
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