P.1 8行目〜最後
(読み)
可いてあり
かいてあり
个る可゛ぢゝ者゛ゝとも
けるが ぢゝば ゝとも
このいぬをこの与ふ
このいぬをこのよふ
尓可王由可゛り个れハいぬも
にかわゆが りけれハいぬも
与く奈じミ个るあると起
よくなじミけるあるとき
(大意)
飼っていたのですが、爺婆ともに
この犬を自分の子どものようにかわいがっていました。
犬もとてもなついていました。ある時
(補足)
「可いて」と「このいぬを」の「い」が異なってますが、両方とも「以」の変体仮名でしょう。
「王」(わ)、変体仮名は「己」のようなかたち。
「由」(ゆ)、これは由の書き順通りに筆を運ぶとなんとなく「ゆ」になります。
「个れハ」、「け」には「計」「介」「个」などがあります。「n」に似てます。「ハ」は「ば」です。「〜すれば」の「ば」とおなじ用法です。「者」(は)と区別のためカタカナの「ハ」を使っているのだとおもいます。
「与」(よ)、「よ」はほとんど「与」がもとです。これも「与」の書き順どおりに運筆すると「よ」になります。
「与く奈じミ个る」、「ミ」がカタカナになってます。「し」はその上の字に重なることがほとんどで「な」の左側にかぶっています。濁点が「奈」の下にあります。
物語の最初、「む可しゝ」のところでも、「可」の左側に「し」がかぶっていて、「可」が「し」の内側にきてしまっています。
文章はここできれます。
現在では文章の区切りは句読点(句点「。」、読点「、」)で読みやすくしたり意味を間違えないようにしてます。明治以前では句読点はありませんでした。分かち書きという文章作法もありましたが、たいていはべた書きです。
「あると起」、「起」(き)。「畿」が使われることも多く、こちらのほうがくずしてゆくと「き」のかたちに近いようです。
爺が鋤(すき)で土を掘ったらお宝がたくさん出てきました。喜びで踊っているようです。金銀それに赤い木の枝みたいなのは赤珊瑚です。過去もお宝でしたが、現代ではもっともっと希少で貴重なものになってます。
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