P.5
(読み)
正じ起ぢゝ
しょうじきじじ
可れき尓
かれきに
者奈をさ
はなをさ
可せてあ
かせてあ
ま多の本
またのほ
ふびを多
うびをた
もう
もう
(大意)
正直な爺は枯れ木に花を咲かせて
たくさんの褒美を(殿様は)お与えくださいました。
(補足)
絵は横画面の見開きなのでパノラマ感がより引き立ちます。
このあたりまで読みすすめてくると、変体仮名などはだいたい出尽くしてきました。
むしろ、文章の区切りや改行による単語のつながりの不自然さなどのほうがやっかいです。
「者奈をさ」、最後の「さ」は次行につながり、「さかせて」。
「可せてあ」、最後の「あ」も次行につながり、「あまたの」。
「ま多の本」、最後の「本」も次行につながり、「ほふびを」。
文末も「たもう」。
お侍さんの頭の部分の色刷りがずれてしまってます。その上の山の端も空の紅色が重なってます。
このお侍さん、「殿、ご覧なされ。見事にございますなぁ」といってるような感じ。
正直爺の右手がヒトデみたいで指先がみなとんがってます。
色ズレも目立ちますが、豆本でも全く手をぬいてません。
色使いがやはりきれい。
【20191229追記】
ここのP4P5が急にこの部分にあるのがよくわかりませんでした。
何度も全体の話を読み返しました。
この物語は誰でもがよく知っている話で、最後に見事に花を咲かせる結末を意識的に最初の方に持ってきて、読者の皆さんはこの話が最後にこうなるのをご存知ですよねと惹きつける効果をねらってのことだろうと考えるようになりました。
P4P5ともによくみると、それぞれの絵の中央に折りジワがあります。半分に折ってそれを開いて横長の大きい絵になるようにしています。画面は2倍になってさらに横長ですからパノラマ感はいっそうの広がりをもって、読者の目は左右に移動します。
これを見せておいて、さぁそれではこうなるまでの物語を続けましょうという凝ったつくりにしたのでしょう。心憎いですね。
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