2019年12月30日月曜日

豆本 昔咄し花咲ぢゝい その11




 P.8

(読み)
[つゞき]
 つづき

いぬ尓そ奈へんと
いぬにそなえんと

せし尓
せしに

のこら須゛
のこらず

こ者゛んと
こば んと

奈りこの
なりこの

う春を
うすを


(大意)
犬に供えようとしたところ
残らず小判になりました。
この臼を


(補足)
最初に2行に「尓」があります。「不」や「ふ」のようにみえます。
「のこら須゛」、「す」がここでは「須」ですが、「う春を」では「春」です。
「奈りこの」、「奈り」で「。」。

 この婆さんは、すでにP.2で出てきています。着物の柄が異なっていること以外他は同じものを着ています。ここでもやはり裸足です。でもタスキはして餅をつく準備はしています。
水桶は倒れて流れこぼれ、臼からはほんとに汚さそうなものが飛び散っています。

 ここの小判があふれる内容は、前頁の絵なのですが、見開きの左側のP.9ではこの絵の内容の記述となります。小判と汚なき物の対比を、読者が前頁に戻ってその絵を見比べながら、効果的に配置したのでしょう。



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