P.34 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
打 古王春遍しと申 候 ニ付 、芋 恨
うちこわすべしともうしそうろうにつき、いもね
栄 助 殿 居合 見請 候得 者゛皆 々
えいすけどのいあわせみうけそうらえば みなみな
近 所 之者 二付 、栄 助 申 様 、みん那可゛
きんじょのものにつき、えいすけもうすさま、みんなが
何 を春るのだ、志づかに志路と申
なにをするのだ、しづかにしろともうし
个連者゛、是 栄 助 平 実 とハ違
ければ 、これえいすけへいじつとはちが
う楚、面 色 かへ帝 倉 之助 ・栄 助
うぞ、めんしょくかえてくらのすけ・えいすけ
下夕へ下り土間二而挨 拶 二及 遍し、
したへおりどまにてあいさつにおよぶべし、
首越とつ帝両人越土間へ春り
くびをとってりょうにんをどまへすり
つけ、いま申 候 金 子差 出春か
つけ、いまもうしそうろうきんすさしだすか
いかゝい多春と申 聞 セ、栄 助 申 様 、
いかがいたすともうしきかせ、えいすけもうすさま、
人 之者 なら者゛於連二も不知、
ひとのものならば おれにもしらず、
(大意)
打ち壊すと申しておりました。芋根の
栄助殿が居合わせ見受けたところでは、全員が
近所の者たちだったので、栄助が「みんな
何をするのだ、静かにしろ」と
言ったところ、(みんなが)「これ栄助普段とは違うのだぞ」と
顔色が変わり、倉之助と栄助
は土間に降りて挨拶をしろと、
(一揆勢が)二人の首を押さえて土間へすりつけられました。
今(われわれが要求した)金を出すのか
どうなのだと言うと、栄助が答えるには、
他の村役人たちのこともあるので俺にもわからぬ、
(補足)
この頁も変体仮名が目立ちます。
「古王春遍し」(こわすべし)、「みん那」(みんな)、
「何を春るのだ志づかに志路と申个連者゛」、「楚」(そ)、「帝」(て)、「越」(を)
「春」(す)、「於連」(おれ)。
「候得者゛」(そうらえば)、3点セットです。
「近所」、ちょっと楷書風。
「何を春るのだ志づかに志路」、口語体で珍しい。臨場感生々しい。
「个」(け)変体仮名。
「下タへ下り」、送り仮名が振ってあるので(したへおり)と読ませるのだとおもいます。
「土間」の「間」が異なってます。「土」のくずし字が今でも「古」に見えてしまいます。
「古」のくずし字は「ホ」のようだとはわかっているのですが。
「於連」(おれ)、「俺」のことだとおもうのですが、こんなあて字で書かれると、「俺」
感がでません。
舞台の一幕になる場面です。
村役人はどうにか穏便にすませ家屋敷が打ち壊されぬよう、押したり引いたり必死でした。
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