P.32 6行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
小前 者 共 参 り候 而宜 敷 取 計
こまえものどもまいりそうろうてよろしくとりはからい
遍くと大 立 腹 二付 、太次郎 殿
べくとだいりっぷくにつき、たじろうどの
此 事 ハ明日迄 御預 ケ被下 申 二付 、
このことはあすまでおあずけくだされもうすにつき、
其 夜 八ツ半 頃 、当 名主 太二郎 殿 ・
そのよるやつはんごろ、とうなぬしたじろうどの・
松 太郎 殿 ・源 左衛門 三 人 帰 り
まつたろうどの・げんざえもんさんにんかえり
臥 申 候 、打 毀 も何二も参 り不申 候 、
ふしもうしそうろう、うちこわしもなにもまいりもうさずそうろう、
(大意)
小前百姓たちが押しかけて来たら、適当にあしらって
くれと大立腹でした。(そんな具合でしたので)太次郎殿が
この件については明日まで待って下さらないだろうかと言うので
その晩八ツ半(午前3時)頃に、当名主太二郎殿、
松太郎殿、源左衛門の3人が帰宅し
就寝いたしました。打ち壊しも何もやっては来ませんでした。
(補足)
太次郎殿は大炎上している滝之助度の火消しに大わらわ。
なだめている様子が必死です。
夜中の八ツ半まで話し合い、切羽詰まっていたんですね。もうすぐ夜が明けてきます。
その夜、一揆勢もやってくることはなくホッとしている様子も伝わってきます。
「宜敷取計」(よろしくとりはからう)、「〜敷」の形はたくさん出てきています。「計」は「斗」。
「立腹」、くずし字が「腹」に見えません。
「明日」、「明」の旁のくずし字「月」は典型的なくずし方です。
「預」=「予」+「頁」、「予」のくずし字が難しい。
「夜」は頻出で、形も特徴的。
「当」のくずし字が丁寧に書かれているので筆の運びがよくわかります。
「帰」も同じく筆の流れがよくわかります。
「臥」、偏の最初の「、」があることによってかえって字がわかりにくくなっている感じです。
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