P.43 最初〜5行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
其 外 打 毀 、夫 ゟ 扇 町 屋江押 出
そのほかうちこわし、それよりおおぎまちやへおしだし
候 得共 、同 所 江罷 越 其 砌 者猶 又
そうらえども、どうしょへまかりこしそのみぎりはなおまた
人 数 弥 増 、迚 も村 方 之者 共 尋 出し
にんずういやまし、とてもむらかたのものどもたずねだし
引 戻 候 儀難出来 、無拠 一 同 帰村
ひきもどしそうろうぎできがたく、よんどころなくいちどうきそん
仕 候
つかまつりそうろう
(大意)
そのほか打ち壊し、それから扇町屋へ押しかけて行きました。
しかし、(われわれが)そこへ着いたときにはなおまた
人数がますますふくれあがっており、とても(われわれの)村の者たちを見つけて
連れ帰ることは難しく、なんとも仕方がないので村役人たちは村に
帰って来るしかありませんでした。
(補足)
個性的で流麗ではあっても後々読みにくいくずし字とは正反対の楷書の趣が感じられる読みやすい頁になっています。
再度、村役人たちの村と、扇町屋近辺の略図を示します。
飯能河原から扇町屋近辺までは直線距離で約8Kmです。
移動は徒歩です。村役人たち一同は全員が壮健ではありません。源左衛門さんは51才でしたから、当時としてはもうお年寄りの仲間に入ります。さらにその移動中にも、あちこちからの情報を聞き集め、また文もかいたことでしょう。心身ともにぐったりだったはずです。
「砌」(みぎり)、とき・ころ・おり。
「猶又」(なおまた)、2文字セットで覚える。頻出。
「弥増し」(いやまし)、「弥々」(いよいよ)など頻出。
「迚も」(とても)、この漢字は現代では見ることは少なくなりました。
「難出来」(できがたく)、「隹」の原型はなく、平仮名「し」の中程でくるっと右回りに筆をまわしてそのまま残りをかき、仕上げに右に「、」。形で覚えます。
「無拠」(よんどころなく)。なんともしかたがない。他にどうしようもない。
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