2018年11月1日木曜日

紙漉重宝記 その83




P.32


(読み)
可ん遍゛んして
かんべ んして

おろそ可に紙
おろそかにかみ

つ可ふべ可ら須゛
つかうべからず

此 図を見て
このづをみて

その苦越
そのくを

志流べし
しるべし


(大意)
 紙漉きの大変さをよく考え、おろそかに紙を使ってはいけない。
この絵図をみて、その苦労を知るとよい。


(補足)
「かんべんして」、「かんべん」というとどうしても「勘弁」(許しを請う、やめてほしい)の意がまずおもいうかびます。もう一つの意味をすでにジジイの仲間のわたしは知りませんでした、お恥ずかしい。「十分に考えること。わきまえること。」

 急斜面の地盤の良さそうなところを、開墾してなだらかにしたようにみえます。
数軒の茅葺屋根が山側によりそうように建っています。

 一人で紙を漉くと干し板が40枚必要とありましたが、
ここにはそれほどの広さはなさそうです。
集落へ荷を運ぶ人が描かれ、狭い広場で干し、紙床もあります。

 谷へ飛ばされた紙を取りに行っている父親は崖を見渡してもいません。
このような場所で作業をしていれば、ちょっとした風で紙が飛ばされるにきまっています。
風が吹く様子を描くのは難しいようです。


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