P.33 上段
(読み)
本し多流紙 壱 枚 風 尓天
ほしたるかみ いちまいかぜにて
谷 へふ起ちりし をとりに行
多尓へふきちりし をとりにゆく
尓も一 時 計 リ 可ゝ類。竹 を
にもいっとき者゛可り かかる。たけを
王り、ちりたる紙 を者さミ
わり、ちりたるかみをはさみ
持 可へるなり
もちかへるなり
(大意)
干していた紙が一枚、風で谷へ吹き飛ばされたのを取りに行くのも
二時間ほどもかかる。竹の先を割ってその飛ばされた紙を挟み持ち帰る。
(補足)
変体仮名がたくさん出てきています。あれっとおもったら調べるのが一番です。
とんでもない崖、谷のところで紙を干していたものです。
何もこんなところを選んで干さなくてもよいとおもうのですが、それなりの事情があったのかもしれません。紙漉き家業の農家がすべてこんな崖っぷちのところだったはずはありません。
父親は左隅の木に引っかかっている紙をめざし谷へ用心深く降りてゆきます。
左手は崖途中の小枝をつかんでいますが、右手は紙の方向に向けられているものの、紙を挟みとる竹の棒は持っていません。腰にも差してはいないようです。
遥か下には川が流れてました。
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