P.37 濱出し乃図
(読み)
濱 出 し乃図
者ま多゛しのづ
三 里の所 おら二可へりめじや
さんりのところ おらにかへりめじや
アゝ志んどや ゝ
アアしんどや しんどや
おそう出や川多の うらゝ
おそうでやつたの うらら
志保を一 俵 可ふ天き多
しほをいちへう かふてきた
(大意)
三里の道のりをおれは二往復目だ。ああしんどい、しんどい。
遅くでかけたなのだな。おれは塩を一俵買ってきた。
(補足)
「うら」、自分のこと、おれ、わたし。
険しい山の雪道を自分よりも大きそうな紙束の荷物を港まで運んでいくところでしょう。
藁靴を履き三度笠の下に手ぬぐいを襟巻きにしています。
大きな荷物の中身は紙束ですから、濡れてしまっては商品価値がなくなります。
藁で厳重にくるむだけで大丈夫だったのでしょうか。
丸太を渡しただけの橋を渡っている人は濱出しの帰りに手ぶらで帰るのはもったいないですから
生活に必要な塩を買って帰るところでしょう。
小川の流れは水量もあり速さもあって落ちたら大変です。
丸太を岸に固定している仕方も描いています。
丸太に穴を開け、太い紐を通し両端を杭に結んでいます。
丸太を渡っている人は濱出しがすみ、ホッとした表情が印象的です。
塩と一緒に、左手に持っている酒も買って、村で仕事終わりの一杯が待っているのです。
頁全体に隙間なく描きいよいよ最後のまとめに向け、熱を込めて筆をふるっています。
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