P.2 最初〜3行目まで。「飯能市立博物館所蔵」「平沼家文書」
(読み)
申 様 、今 晩 と申噂 御座候 、私 し共 江ハ志らせ
もうすさま、こんばんとうわさもうしござそうろう、わたくしどもへはしらせ
不申 候 、風 聞 承 り候 二、不動 渕 と可檜 渕 と可
もうさずそうろう、ふうぶんうけたまわりそうろうに、ふどうぶちとかひのきぶちとか
清 揃 致 出 向様 之風 説 も有 之 、我 野へ
せいぞろいいたしでむきようのふうせつもこれあり、あがのへ
(大意)
申すには、今晩という噂があります。われわれ村役人へは知らせるつもり
はなく、伝え聞きするところによると、不動渕とか檜淵とかに
勢揃いしてやってくるとのうわさもある。吾野へ
(補足)
「申様」、既出ですが、これからもたくさん出てきますので、ふたつまとめてこの形で覚えると簡単です。
「今晩と」、「と」は「与」の変体仮名。「晩」、ちょっとわかりにくいが、ジッと見ていると「晩」です。それにしても「今」の字がでかくてくっきりはっきり。
「噂」、形で覚えるしかなさそう。
「私」、古文書を読んでいて意外と出てこないのがこの「私」です。前頁では「下拙」とありました。「私」と「共」の間にある字がわかりません。(「名栗村史研究 那栗郷 1」20000331 名栗村教育委員会発行 を頼りに読み進めているのですが、ここには「し」と記載されています)
「不申候」、前行にある「御座候」と同じく、3文字まとめて覚える。「不」のくずし字体はたくさんありますが、源左衛門さんのは特徴的かな。
「風聞」、また出てきました。きれいな字です。
「承り候ニ」、右脇に小さく「り」「ニ」があります。送り仮名や助詞の書き方。ひらがなや変体仮名は普通に行の真ん中に書いています。
「と可」、今風の言い方の「〜とか」と同じです。この時代にも普通に使われていたのでしょう。というか、今でも使われている表現であることに驚きます。
「不動渕」「檜渕」、地名。
「清揃」、「清」=「氵」+「青」。「揃」=「扌」+「前」。両方ともにそれぞれの部首のくずし字になっています。
「致」、頻出。わたし自身の見分け方は、旁のくずし字が「支」のような形を目安にしています。
「出向様」、ここの「様」は筆が細く、くずし字の書き順がよくわかります。
「風説」、「説」の「訁」はこんな形。中国語の簡体字と同じです。
「有之」、最頻出。まとめて覚える。「有」=「メ」+「月」、「月」のくずし字はとても大切ですが、ここのくずし字はちょっと変わっているかな。
「我野へ」、読めません。地名で現在は「吾野」です。「我」のくずし字は形で覚える。「野」は特徴的で、偏の「里」は上部に位置して、「予」の上半分が「里」の右側にきて、下半分が全体の「脚」部分にきているような感じに見えます。この行のすぐ左隣の行のほぼ同位置に、もっと筆先が細い見やすい「我野」があります。
既に投稿した(補足)の内容は省略するようにする方針なのですが、まだ始まったばかりでどうしても、長い(補足)になてしまいます。申し訳ないことです。
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