2018年11月24日土曜日

変事出来二付心得覚記 その9




 P.2 貼紙部分の3行。「飯能市立博物館所蔵」「平沼家文書」

(読み)
我 野村 役 人 江毛早 速 此 趣   ヲ通 達 二及、
あがのむらやくにんへもさっそくこのおもむきをつうたつにおよび

右 之族 通 行 致  候  ハヽ、御差 留 可被下   候
みぎのぞくつうこういたしそうらわば、おさしとめくださるべくそうろう

申  遣  し候
もうしつかわしそうろう


(大意)
吾野村役人へも早速(われわれの)この対処を知らせ
例の集合している百姓たちが現れたら、押し留めておいて下さるよう
連絡しておいた。


(補足)
 貼紙部分です。貼紙は今で言う付箋ですが、きれいで上手につかわれるものだなと感心します。
接着してありますが、ご飯粒を潰したノリでしょう。虫たちはここは大好物のはず。

「毛」(も)、変体仮名。
「早速」、頻出です。「日」の部分は「一」、「十」の部分は縦棒を書いてそのまま筆を左上にもってゆき、「一」の書き終わりで次の文字につなげるので、丸くなってしまう。
「此趣」、「此」は前回は「此段」で出てきました。「趣」も既出ですが「取」をきっかけにすると読みやすい。
「通達及」、行末なのに字がデカイ。運筆しながらまだ余裕があるぞとおもったようだ。

「通行」、「行」がわかりにくい。
「致」、既出。読めない字が続いて、途中にわかる字があるときがあります。そこを拠点に前後を読んでゆくと、意味が通じてゆくときがあります。
「候ハバ」(そうらわば)、3点セット。
「差留」、この「差」がよくみるくずし字。
「可被下候」、4点セット。(くださるべくそうろう)。
「申遣し候」、3点セットか4点セットで覚えたほうが良さそうです。「申」、書き手の癖は縦棒の最後が左に流れるところでしたが、ここではまっすぐ、次の文字へのつながりのためか。
「遣し」、ひらがなのややつぶれた「い」に見えるのが「辶」。

 貼紙は全部書いてから、読み返したら、あっそうだったと気づいて書き加えたものです。
下名栗に連絡しましたが、吾野への連絡もしたのだったとおもいだして貼紙で書き加えたのでしょう。

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