2018年11月27日火曜日

変事出来二付心得覚記 その12




 P.3 6〜9行目まで。「飯能市立博物館所蔵」「平沼家文書」

(読み)
円 正  寺・醫王 寺・正  覚 寺ハ森 川 原迄
えんしょうじ・いおうじ・しょうかくじはもりかわらまで

頼  二罷  出同 道 致  、浜 井場江参 り万 次郎
たよりにまかりでどうどういたし、はまいばへまいりまんじろう

宅 江寄 噂  承     、今 者゛ん上ミゟ 徒黨 致 し
たくへよりうわさうけたまわり、こんば んかみよりととういたし

飯 能 村 へ出向 趣   承    り候   処  如何 登尋  候  得ば、
はんのうむらへでむきおもむきうけたまわりそうろうところいかにとたずねそうらえば、


(大意)
円正寺・医王寺・正覚寺をめざし森川原迄
一緒に移動し、浜井場の万次郎
宅に立ち寄り噂を聞いた。(村役人が)今晩村奥より百姓の徒党が
飯能村を目指してやってくるとのことだが、
どうしたらよいかと尋ねれば、


(補足)
 慌ただしさと緊張が高まります。
また、村役人たちが情報を細かく収拾している様もよくわかります。

「円」、くずし字はとても立派。
「醫」、旧字体を楷書のように書いています。
「覚」、この頁の最初の「覚五郎」と比べると、ほとんど同じように書いているのですが、こちらのほうがわかりやす。「覚五郎」のほうは字が大きいがちょっとわかりずらい。
「迄」、頻出で「辶」は「と」のような部分。

「頼」、偏「束」がこんな形になる。
「罷出同道致」、このまままとめて覚えてもよいくらいです。どれも特徴的なぶん覚えやすい。

「寄」、「宀」が「巾」、その下部へ残りがくる。
「噂」、「口」偏は点2つ、「尊」は「そ」をそのままつなげる感じで「る」をかく。
旁が「寺」「尊」など「寸」を部品として含んでいるくずし字は、「ち」や「る」のようなくずし字になることが多いような気がします。
「今者゛ん」(こんばん)、「者」(は)の変体仮名。それに「゛」が付いている。
「徒黨」、「徒」偏の判別は難しいです。前行の「場」の「土」もそう。「黨」、旧字体なので複雑。

「飯能」、「飯」の偏「食」が原型をとどめない。
「趣」、もう何度も出てきました。偏「走」はこれも原型を留めず。旁の「取」を頼りにします。
「候処」、運筆がとてもよくわかります。
「如何」、2文字セットで覚えます。
「登」(と)、変体仮名。「癶」が「小」に「、」が目印。
「尋」、「ヨ」「エ」「ロ」「寸」で原型が残ってます。
「候得者゛」(そうらえば)、3文字セットで覚える。頻出です。

 簡単な地元地図です。縮尺は下部の有間ダムの横幅が約1300mです。



飯能市立博物館展示ガイドブック¥500円にこの変事が2頁にわたって記されています。




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