P.36 俵作くり能圖 上段
(読み)
俵 作くり能圖
へうつくりのづ
おらハ酒 越のもふと
おらはさけをのもふと
思 ふ天、阿この月 可ら
おもふて、あこのつきから
可ミを十 枚 おして
かみをじゅうまいおして
おい多。おや可多へ
おいた。おやかたへ
志れ袮バ よひ可゛
しれねば よひが
(大意)
おれは酒を飲もうとおもって、先月から
紙を十枚隠しておいた。
親方へ知られなければよいが
(補足)
「俵作くり能圖」、「たわらづくり」と読んでしまいそうですが「へう(ひょう)つくり」でした。
「圖」に振り仮名「づ」がありますが、「作」に振り仮名「つ」を振ってほしかった。
「乍」、のくずし字は特徴的でわかりやすいのですが、ここの「十」+「て」は簡単ですがわかりづらい。
「於」(お)が4回でてきます。「可」も4回で字も小さくわかりづらい。
「あこの月」、「こ」は「と」の誤植でしょう。「後の月」、前の月、先月。
この上部の絵図はムシロを編んでいる様子です。
両側の馬に棒を渡し、編み紐を4箇所鼓状の重しに結んだ紐を交互に前後に振り分けて藁を足して編み上げます。両側の棒の支えは、形の良い二股に枝分かれした木をそのまま使っています。
先月から紙を10枚抜いていたとしていますが、ひと月で10枚隠してもそれだけで酒にありつけたたはおもえません。かといって毎日だとして200枚以上、それではすぐに見つかってしまう。
お酒をちょこっとやるくらい、親方の目を盗んで紙を抜いていたのでしょう。
紙漉きだけでなく、出荷する工程とその様子がよくわかる絵図になっています。
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