2018年11月26日月曜日

変事出来二付心得覚記 その11




 P.3 1〜5行目まで。「飯能市立博物館所蔵」「平沼家文書」

(読み)
覚 五郎 も可罷 居   間  、是 江も御噺 し被下
かくごろうもまかりおりべくあいだ、これへもおはなしくだされ

差 留 遍くと御噺 し被下  、夫 ゟ 夕 六ツ頃、
さしとめべくとおはなしくだされ、それよりゆうむつごろ

森 川原 松 五郎 宅 二而ろうそく・王らじ
もりかわらまつごろうたくにてろうそく・わらじ

用 意致  、名主 滝 之助 殿 ・当 名主 太二郎 殿 ・
よういいたし、なぬしたきのすけどの・とうなぬしたじろうどの・

源 左衛門 ・軍 蔵 ・伴 次郎 ・其 外
げんざえもん・ぐんぞう・はんじろう・そのほか


(大意)
覚五郎もここにいるうちに、彼にも説明して下さり
押し止めると話して下さって、それより夕方の六ツ頃(6時頃)
森川原松五郎宅でろうそくとワラジを
用意した。名主滝之助殿・この村の名主太ニ郎殿・
源左衛門・軍蔵・伴次郎そのほか


(補足)
 ろうそく・ワラジを準備していよいよ百姓が集合しているところへと移動し始めるわけですが
どうも人の動きをうまく表現できません。解釈が間違っているのかもしれません。

 「覚五郎」、「覚」がでかい。古文書では字の大きさがそろってません。なぜなのかといつもおもいます。「五」のくずし字を確実に読めるようになるとなんか自信がつきます。「郎」、くずし字は「ら」です。
「可罷居間」、「可」のくずし字は「う」に見えることがほとんどですが、ここでは「て」です。
「罷」、頻出です。これは形で覚える。頻繁にでてくるのですぐに読めるようになるはず。
「是」、一番下の「辶」みたいのが「一」になる。
「被下」、2点セット。行末で小さい。

「差留」、「留」のくずし字が、2行先の「当」のくずし字と似ている。
「被下」、前行のは小さかったが、ここのはわかりやすい。「被」はほとんど「ヒ」。

「森」、「木」が3つだが、下部の2つが変、「成」にみえます。
「ろうそく」、漢字は「蠟燭」だが、読めてもすぐには書けなかったのだろう。
「王らじ」、「王」(わ)の変体仮名。ひらがなの「ら」だが「郎」のくずし字と同じです。

「名主」、「主」に注意。
「殿」、偏がなく、旁の「殳」だけだがそれもけっこうくずしている。
「当」、前頁のくずし字とは異なっている。
「太ニ郎」、「太」がいつも最初に「左」に見えてしまいます。

「伴次郎」、旁の「半」や「津」の旁は現在では最後に縦棒ですが、くずし字は上部を書いてから縦棒で次に下部の「ニ」です。この形の字はほとんどこの順です。
「郎」、ここでは「ら」ではなく、「戸」+「巾」。
「其外」、2点セット。頻出です。

 登場人物が多いです。
覚五郎へ話しているのは、前頁からの続きで太次郎殿。
太次郎殿は名主で、平沼源左衛門の組頭より役職は上なので丁寧語を使っている。
なお、原文では太次郎と太ニ郎が混在してます。
滝之助殿は町田滝之助、名主です。
軍蔵は年寄、伴次郎は組合の役職。


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