2020年7月7日火曜日

的中地本問屋 その24




P.8



P.8 下段

(読み)
「それ
 それ

より
より




てう あい
ちょうあい

さん奈の
さんなの

本う可゛
ほうが

よ可ろふ
よかろう


「者やく
 はやく

者゛ん尓
ば んに

奈れバ
なれば

よい
よい

可らす
からす

あめを可つて
あめをかって

くおう尓
くおうに


(大意)
「それよりか、丁合さんなのほうが
よかろう。

「はやく晩になればいい。
からす飴を買って食うんだ。


(補足)
(その22)P.7下段の「丁合とらしょ」を受けて、「丁合さんな」と返している。
「丁合さんな」はもちろん地口(しゃれ)ですが、引っ掛け元は「唐来 参和(とうらい さんな/さんわ、1744年(延享元年)- 1810年2月28日(文化7年1月25日))は、江戸時代中期から後期に活躍した戯作者、狂歌師である。」とありました。

「それより」、「よ」が間延びしていて悩みます。

 丁稚は早く仕事が終わって、帰りに買うからす飴が楽しみ。
カラス飴がどんなものかわかりませんが、きっと黒くツヤツヤして甘い飴でしょう。

P7P8見開き



 製法作業場が整然としていて、忙しさに追われている感じがあまりありません。
これくらいのほうが、製本ミスが少なかったのかも。

 ところで、この作業の前に板木を彫る作業があります。
校正で間違いがあったとき、その箇所を修正しなければなりません。
板木の修正箇所部分だけを切り取って、新しい木を埋め込み、あらたに彫り直しました。
結構な手間です。



2020年7月6日月曜日

的中地本問屋 その23




P.8



P.8 上段

(読み)
や起尓して
やきにして

てう あいを
ちょうあいを

とるもの尓
とるものに

のまセ个れハ
のませければ

めう やくの
みょうやくの

志るし
しるし

ヤ可ら可゛年
やからが ね

をうつ
をうつ

ごとく尓
ごとくに

そのての
そのての

者ヤさ
はやさ

ちやんゝ
ちゃんちゃん

ゝ  と
ちゃんと

志゛起さ満
じ きさま

てう あいを
ちょうあいを

とつて
とって

しもふ
しもう


「めうじの
 みょうじの

ある
ある

ぢぐ
じぐ

ちハ
ちは

奈ら
なら

ぬぞ
ぬぞ


(大意)
(黒)焼きにして、丁合いをとるものに
飲ませたところ、妙薬の効き目で
ヤカラ鐘(八打鐘)を打つように
手早くちゃんちゃんちゃんと
すぐに丁合いを済ましてしまった。

「名字のある洒落はだめだぞ


(補足)
「志゛起さ満」、直様。すぐさま、ただちに。

「志もふ」、「も」は「ま」の誤字か。

「地口」、ことわざ・成句などに引っ掛けた語呂合わせの文句・洒落。「着たきり雀」(舌切り雀)のように現在でも使われているものが多数ある。
うっかり名前などで洒落たものがお武家さんだったりしたらおおごとなので、村田屋が注意している。

 丁稚が三角の尖った枕のようなものに折って重ねています。
とにかくすべて手作業、妙薬に頼りたいのも納得です。



2020年7月5日日曜日

的中地本問屋 その22




P.7



P.7 下段


(読み)
可゛んゝ
が んがん

ミつくち
みつくち

てう
ちょう

あい
あい

とら
とら

志よハ
しょは

どふ多゛
どうだ


(大意)
雁雁三口、丁合いとらしょ、はどうだ。


(補足)
 さっぱり意味がわかりません。
「雁雁三口」で検索すると、日本国語大辞典に
「子どもが、雁の飛んで行くのを見て唱えることば。「みつくち」は「(飛んで行くのを)見尽くす」の転じた語という」とありました。

 でも、まだ???です。
子ども達が渡りの雁を見上げながら口ずさんだのが
「雁々みつくち後の雁先になつたら笄(こうがい(かんざし))とらしよ」
のようです。

 版摺りし並べた一枚一枚を雁が一列になって渡ってゆく様になぞらえ、「かんざし」を「ちょうあい」にして、洒落たということでしょうか。

 母が子どものころ、渡ってゆく雁に向かって、
「一文字にな〜れ、くの字にな〜れ、かぎにな〜れ」と大声で励ましたと楽しそうに空を見上げながら話してくれたことがありました。
母は今年百歳で元気です♪



2020年7月4日土曜日

的中地本問屋 その21




P.7



P.7 上段後半


(読み)
可年て
かねて

くふうを
くふうを

して
して

おい
おい

多る
たる

こと
こと

奈れバ
なれば

道 中
どうちゅう

さよの
さよの

奈可山 の
なかやまの

ヤ可ら
やから

可゛年をくろ
が ねをくろ



(大意)
以前から考えておいたこと、
道中小夜の中山のヤカラ鐘(八打鐘)を
黒(焼き)


(補足)
 中段に「旅眼石(多び春ゞり) 十返舎著 全部二冊」とビラ宣伝しています。「び」の下半分が欠けていて「バ」に見えていますが「び」です。

「ね」の変体仮名「年」は「◯」の「丶」です。二箇所あります。筆の手跡でもクルッと丸く書きます。

「道中」、「道」のくずし字もこれまた実に独特です。「首」に「辶」でどうしてこんな形になんるのか、なんて考えないで形で覚えます。

「さよ」、「よ」がわかりずらい。

「さよの奈可山のヤ可ら可゛年」。「小夜の中山」、枕詞や故事や地域伝承を知らないと何が何だかさっぱり理解できません。
小夜の中山峠は旧東海道の金谷宿と日坂(にっさか)宿の中間にある難所の峠で、そこには夜泣き石があるという。
ヤカラ鐘は画にあるようにしておこなう大道芸。八打鐘・八打鉦(はっちょうがね)。画では鉦が7つしかありませんが。




2020年7月3日金曜日

的中地本問屋 その20




P.7



P.7 上段前半


(読み)
さうしを
そうしを

じ由ん尓
じゅんに

一まい
いちまい

づゝそろへ
ずつそろえ

るをてう
るをちょう

あいをとる
あいをとる

といゝて
といいて

可くのことく
かくのごとく

春る奈り
するなり

これも
これも

者やく
はやく

可さの
かさの

とれる
とれる

よふ尓と
ようにと



(大意)
草紙を順に一枚ずつそろえことを
丁合いをとるといい、この画のように
おこなう。
これも手早くたくさんこなすことができる
ようにと


(補足)
摺る工程が終わり、製本の「丁合いをとる」工程に入ります。

「一まい」、「つまい」って?と考えましたが、漢数字の「一」でした。
「といゝて」、「ゝ」が「ら」に見えて悩みます。
「可くのことく」、「こと」は合字(二つの文字を一文字で表す)になってます。「ゟ」(より)はフォントがあるのですが、「こと」はありませんでした。

 丁合いをとる作業は何百年たっても変わりません。
学校・役所・会社など冊子にするには人海戦術が手早いです。
指が滑らないよう、指先をナメナメしていたかもしれません。




2020年7月2日木曜日

的中地本問屋 その19




P.6



P.6 下段

(読み)
おらアセんど
おらぁせんど

ヤ奈ぎヤの
やなぎやの

可さを
かさを

おいて
おいて

き多可ら
きたから

とり尓い可ざア
とりにいかざぁ

奈るめへ
なるめえ


(大意)
俺はこのあいだ柳屋の傘を
置いてきたから
取りに行かなくては
ならねんだよ


(補足)
「セんど」、「先度」このあいだ、せんだって、さきごろ。
辞書には反対語?で「後度」(ごど)(後日、のち)があります。「今度」というのは現在使いますが、なにか関係がありそう。

「とり尓い可ざア 奈るめへ」、歌舞伎言葉でしかなじみがありませんが、当時は庶民にありふれた言い回しだったのでしょうか。


 こちら向きの二人がバレンを使って摺っています。その右側には墨があり四角い刷毛が見えます。ペンキを塗るような刷毛ではなく四角いしっかりした形の刷毛です。
二人が使っている摺り台が手前が高く奥に向けて傾いているように見えます。このようにして摺っていたのでしょうか。


 背中を見せている摺師は墨を平べったい棒でかき混ぜています。
3人共妙薬のためではなく、摺師一筋腕っぷしの力強さが目立ちます。


P5P6見開き



「板木の科学的研究NA20161002-20170300-0003.pdf」という論文がアップされています。
興味深い内容です。




2020年7月1日水曜日

的中地本問屋 その18




P.6



P.6 中段

(読み)
「それ
 それ

より可ア
よりかぁ

ひしヤへ
ひしやへ

いつて
いって

春つ
すっ

本゜ん
ぽ ん

尓で
にで

のむ可゛
のむが

いゝ
いい





(大意)
「それよりかぁ
菱屋へ行って
スッポン煮で飲んだほうがいいよ


(補足)
(その16)の会話部分の続き。

「それ」、「そ」と「れ」のあいだに「ノ」ありますが流れたものでしょうか。ここの「そ」は変体仮名「曽」でしょうけど、違う形にみえます。

「より可ァ」、「いつて」、の「り」と「つ」がそっくり。

「春つ本゜ん尓で」、「スッポン煮」とわかるまでしばらく時間がかかりました。「尓」を「煮」としてくれればすぐにわかったかも。「本」の右上に左半分しかありませんけど「゜」があります。