表紙 個人蔵
見返し
(読み)
表紙
JAPANESE
STORY TELLERS
FROM THE FRENCH OF JULES ADAM
BY OSMAN EDWARDS
見返し
(大意)
表紙
日本の噺家
ジュール・アダンのフランス語版より
訳 オスマン・エドワーズ
見返し
長谷川亭 三遊亭圓朝 三遊亭圓生
五明樓玉輔(?) 三遊亭小圓遊 英國人ブラック
(補足)
Jules Adam (French, born 1861)。フランス領事館の一等書記官。
Osman Edwards (1864–1936)。英国の作家、翻訳者、評論家
表紙の落語家は誰でしょうか?鮫肌の渋い羽織です。火鉢の上にやかん、そして湯呑み、両側に燭台。この燭台なかなかこっています。台がお盆のようになっています。蝋燭のすぐ下に引っ掛けてあるのは、蝋燭の灯心を消すときに使うものでしょうか。摺り師は蝋燭の炎にも濃淡を付けています。高座の一服の画になってますねぇ。
そして裏の見返し、これも開演間近の雰囲気が出ていていいですねぇ。灯りの入っている看板は、こんなところにも摺り師は灯りの濃淡をほどこして、雰囲気をもりあげています。楽しそうにやってくる人々の服装もこれまたよし、身なりでどのような職業なのか身分なのかが、まだまだわかってしまう時代でありました。
このちりめん本の後半は看板にある「英國人ブラック」の紹介になっています。
わたしの父方の祖父は明治12(1879)年生まれ。ここに描かれている人たちとまったく同じ着物姿、雰囲気でした。爺様が亡くなるまでとうとう、着物姿以外は見たことがありませんでした。寒い時期になると、和服の上にフロックコートを羽織って、帽子をちょっと傾けてかぶり、足元はしゃれた下駄、格好良かったなぁ。
なお、このちりめん本は2024年10月に米国のオークションで手に入れました。
『T. HASEGAWA, 17, Kami Negishi, Tokyo, Japan
明治卅二年十月十六日第一版發行
同四十五年七月二十日第二版印刷同卅日發行
發行者 東京市下谷區上根岸町十七番地長谷川武次郎
著者 英國 オスマン エドアード
印刷者 横浜市太田町五丁目八十七番地 村岡平吉』
発行の日付に注目してください。「明治45年(1912)7月30日、明治天皇が崩御され、同日以後を改めて大正元年とする旨の改元の詔書が発せられた」とあるので、印刷は明治最終年、発行は大正最初と、元号をまたいだものとなってしまいました。
印刷者の住所を地図で確認できます。
画像の左上隅が戸部や掃部山、中央やや右寄りが太田町五丁目、右下に現在の野球場があります。
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