2023年2月10日金曜日

花咲ぢゞ以(小森宗次郎)その3

P2 国立国会図書館蔵

(読み)

[次 ゟ ]

 つぎより

 

本りし尓あま

ほりしにあま


たのた可らのいでしを

たのたからのいでしを


となりのよく者゛り

となりのよくば り


者゛ゞアみ天その

ば ばあみてその


いぬを

いぬを


可り

かり


由きいぬのたちどまり

ゆきいぬのたちどまり


たるミてそのとこ◯

たるみてそのとこ


◯ろを本り

 ろをほり


ける尓いぬ

けるにいぬ


のくそ

のくそ



いで[二へ]

いで にへ


(大意)

掘ったところ

たくさんの宝物が出てきたのを

隣の欲張りババアが見ていました。

その犬を借りて行き、犬の立ち止まった

ところを掘っていみると

犬の糞が


(補足)

 この小森宗次郎の豆本シリーズは書肆屋さんに並ぶことなく、おそらく初稿を図書館に納品したようにおもわれます。文字の角がたっていて画面全体の色も鮮やかですし、なにより摺り上がったばかりの勢いが感じられます。

「次ゟ」、「ゟ」(より)は合字。「よ」と「り」をつなげてかいて一文字にしたもの。

「者゛ゞアみ天」、変体仮名「天」(て)は変体仮名「久」(く)とかたちがほとんど同じです。

犬の後足まわりに、赤をおいたときに飛び散ってしまったような跡があります。摺師が分業して赤担当の摺師の腕がいまひとつだったのか?

 

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