2023年2月17日金曜日

花咲ぢゞ以(小森宗次郎)その10

P8上段 国立国会図書館蔵

(読み)

[次ゟ]

とふざの

とうざの


本うび尓い多

ほうびにいた


だきける

だきける


それをよく者゛り

それをよくば り


ぢゞ以ミてその者い

じじいみてそのはい


を春古しもらいかれきへ

をすこしもらいかれきへ


の本りまつうち尓との

のぼりまつうちにとの


さまおとうり尓奈りし

さまおとおりになりし


をさい王い王れハ

をさいわいわれは


かれき尓者奈△

かれきにはな


(大意)

その場で褒美にいただいたのでした。

それをよくばりじじいが見ていて

その灰を少しもらい枯れ木へ

のぼり待っていると

殿様がお通りになるのを

これ幸いと

わたしは枯れ木に花(を咲かせる)


(補足)

「とふざの」、当座ですが、普段使っているのは② しばらくの間。当面。や、③ (あることから)しばらくの間。一時(いつとき)。や、⑤ 「当座預金」の略。です。しかし一番最初に① その場。即座。即刻。とありまして、これを採用しました。

「と」のかたちが意外と変化にとんでいて、読むのに悩まされます。

「ぢゞ以ミて」、カタカナ「ミ」の3画目が流れて「え」にみえてしまいます。

「春古しもらい」、簡単そうに見えてちょっと悩む箇所。

「おとうり尓」が「おとふり尓」ではなく、「とふざの」が「とうざの」でないのでややこしい。

 正直爺さんが登った木はさくらのようでしたが、よくばりじじいのは背後の赤い幹を見ると松のようで、これに花は咲きませぬ。

 

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