P8上段 国立国会図書館蔵
(読み)
[次ゟ]
とふざの
とうざの
本うび尓い多
ほうびにいた
だきける
だきける
それをよく者゛り
それをよくば り
ぢゞ以ミてその者い
じじいみてそのはい
を春古しもらいかれきへ
をすこしもらいかれきへ
の本りまつうち尓との
のぼりまつうちにとの
さまおとうり尓奈りし
さまおとおりになりし
をさい王い王れハ
をさいわいわれは
かれき尓者奈△
かれきにはな
(大意)
その場で褒美にいただいたのでした。
それをよくばりじじいが見ていて
その灰を少しもらい枯れ木へ
のぼり待っていると
殿様がお通りになるのを
これ幸いと
わたしは枯れ木に花(を咲かせる)
(補足)
「とふざの」、当座ですが、普段使っているのは② しばらくの間。当面。や、③ (あることから)しばらくの間。一時(いつとき)。や、⑤ 「当座預金」の略。です。しかし一番最初に① その場。即座。即刻。とありまして、これを採用しました。
「と」のかたちが意外と変化にとんでいて、読むのに悩まされます。
「ぢゞ以ミて」、カタカナ「ミ」の3画目が流れて「え」にみえてしまいます。
「春古しもらい」、簡単そうに見えてちょっと悩む箇所。
「おとうり尓」が「おとふり尓」ではなく、「とふざの」が「とうざの」でないのでややこしい。
正直爺さんが登った木はさくらのようでしたが、よくばりじじいのは背後の赤い幹を見ると松のようで、これに花は咲きませぬ。
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