2023年2月4日土曜日

西洋昔噺第一号八ツ山羊(長谷川武次郎) その17

P8 国立国会図書館蔵

(読み)

ハテ吾(おれ)盤

はて  おれ は


たしか尓山羊(やぎ)

たしかに   やぎ


の子を久ひ多流尓

のこをくいたるに


(大意)

はて、おれは

たしかに山羊の

子を食ったはずだが


(補足)

ここの「に」は変体仮名「尓」で、英字筆記体小文字の「y」のかたち。

平仮名「た」と変体仮名「多」の両方が使われています。

 山羊の母の手は偶蹄目なのでそのままのかたちがです。子山羊たちの顔をよく見ると一疋いっぴき表情をかえています。かわゆい。でも6疋しかいません。残る2疋は次の頁です。

 一番右の子羊のしっぽと左端の草むらが枠からはみ出しています。漫画雑誌で枠からはみ出して描かれることがあります。とびだす感じや迫力感などの表現のためでしょうけど、明治中期はやくもそれらのさきがけでありましょうか。

 羊の白の色は塗ってある色ではなく紙の色そのものです。つまり線描画なのですが、羊のからだのいろやフサフサ感を感じるのは絵師や摺師・彫師の腕なのでしょう。水彩画のような摺りでさっぱり感がよいです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿