P8 国立国会図書館蔵
(読み)
ハテ吾(おれ)盤
はて おれ は
たしか尓山羊(やぎ)
たしかに やぎ
の子を久ひ多流尓
のこをくいたるに
(大意)
はて、おれは
たしかに山羊の
子を食ったはずだが
(補足)
ここの「に」は変体仮名「尓」で、英字筆記体小文字の「y」のかたち。
平仮名「た」と変体仮名「多」の両方が使われています。
山羊の母の手は偶蹄目なのでそのままのかたちがです。子山羊たちの顔をよく見ると一疋いっぴき表情をかえています。かわゆい。でも6疋しかいません。残る2疋は次の頁です。
一番右の子羊のしっぽと左端の草むらが枠からはみ出しています。漫画雑誌で枠からはみ出して描かれることがあります。とびだす感じや迫力感などの表現のためでしょうけど、明治中期はやくもそれらのさきがけでありましょうか。
羊の白の色は塗ってある色ではなく紙の色そのものです。つまり線描画なのですが、羊のからだのいろやフサフサ感を感じるのは絵師や摺師・彫師の腕なのでしょう。水彩画のような摺りでさっぱり感がよいです。
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