P9後半 国立国会図書館蔵
(読み)
能丸 石 可゛ごろ\/と、ころ
のまるいしが ごろごろと、ころ
げて前へ傾(可多む)く其(その)拍子(ひようし)尓、狼 盤
げてまえへ かたむ く その ひょうし に、おおかみは
池 へのめ里こみて、ブクブクと沈(しづ)ミ个れ盤゛、
いけへのめりこみて、ぶくぶくと しず みければ 、
親子(おやこ)の山羊ハ走(者し)里い天゛、池 のほと里尓うち集(つど)ひ、
おやこ のやぎは はし りいで 、いけのほとりにうち つど い、
掌(て)をうち躍(をどり)里て喜(よろこ)びしと楚゛、めで多し\/ \/
て をうち おどり りて よろこ びしとぞ 、めでたしめでたしめでたし
(大意)
(腹の中)の丸石がゴロゴロと
ころがって前へ傾き、その拍子に狼は
池へのめり込んでブクブクと沈んでしまいました。
親子の山羊は走り出して、池のふちに集まり
手をたたいて踊り喜こんだとのことでした。
めでたしめでたしめでたし
(補足)
池に落ちた狼の水の描き方は、左側は跳ね上がる水しぶきと腰回りの水のうねりは浮世絵のお家芸といってもよいでしょう。
何度か出てきている変体仮名「能」(の)はかたちが特徴的なので一度おぼえたら忘れません。
「走(者し)里い天゛」、変体仮名「天」(て)は変体仮名「久」(く)とほとんどかたちが同じです。
「躍(をどり)里て」、振り仮名「り」と「里」がダブってしまいました。
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