2023年2月5日日曜日

西洋昔噺第一号八ツ山羊(長谷川武次郎) その18

P9前半 国立国会図書館蔵

(読み)羊五終

奈尓やら石(いし)でも

なにやら  いし でも


者い川ている

はいっている


ような、こゝろ

ような、こころ


もちが春ると、

もちがすると、


ひとりごと越いひ

ひとりごとをいい


な可゛ら、喉(のど)可゛か者く

なが ら、  のど が かわく


とみえて池(いけ)尓い多利、水

とみえて  いけ にいたり、みず


をのまんとして、前(まへ)

をのまんとして、  まえ


へかゞみし尓、腹(者ら)の中

へかがみしに、  はら のなか


(大意)

なにやら石でも

入っているような気分がすると

ひとりごとをいい

ながら、のどが渇いたと

みえて池へゆき、水を

飲もうとして前へ

かがむいたところ、腹の中の


(補足)

「な」の変体仮名が使われることはあまりなかったようにおもわれます。

「者い川ている」、変体仮名「川」(つ)は促音の「っ」なのですが、大きい「つ」のまま。

「こころもちが」、お手本のような「が」の次の次の行には「な可゛ら、喉(のど)可゛」と、変体仮名「可゛」(が)で、両者共存です。

 左の子山羊の顔がどこか人間っぽい。

 

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