2023年2月9日木曜日

花咲ぢゞ以(小森宗次郎)その2

P1 国立国会図書館蔵

(読み)

本つたん

ほったん


む可し\/

むかしむかし


あるい奈可尓

あるいなかに


志よふ

しょう


じき

じき


なる

なる


ぢゞあり

じじあり


ひ古゛ろいぬを王可゛

ひご ろいぬをわが


古のごと久可王い可゛り

このごとくかわいが り


けるあるひそのいぬ

けるあるひそのいぬ


志きり者ぢを本る尓ぞぢゞいも●

しきりはじをほるにぞじじいも


●とも尓そのとこ

 ともにそのとこ


ろを[次へ]

ろを つぎへ


(大意)

はじまりはじまり〜

むかし昔、ある田舎に正直な爺(じじい)がいました。

日頃、犬を我が子のようにかわいがっていました。

ある日、その犬が何度も端を掘るので

爺もいっしょにそのところを


(補足)

「本つたん」、発端とわかるのにしばらくかかりました。講談師がパシッと卓をたたいてはじめるかのよう。

「志よふじき」、「じ」がよく読めなくて、ここも正直とはすぐにわかりませんでした。

「可王い可゛り」、同じ変体仮名「可」なのにかたちがまったくことなります。

 鋤の刃の部分と犬の柄の3色とが同じ色合いで丁寧ですし、爺のみなりの仕上がりもとてもきれいにできています。他の部分もほぼ完璧といってよいのに、赤だけが乱れているのはどうしてなのでしょうか。珊瑚の赤ははみだし、色こぼれして枠線をはみだし、爺の袖口や帯の部分も荒い。

 

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