2022年10月7日金曜日

かち\/山咄し(木村文三郎) その17

P10後半 国立国会図書館蔵

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P11

(読み)

きおもひ志連とさん\/尓う

きおもいしれとさんざんにう


ち个連バふ年ハくづ連多ぬ起も

ちければふねはくずれたぬきも


とも尓うミへしづミて志ゝ多り

ともにうみへしずみてししたり


うさ起゛ハし由びよくあ多゛をうち

うさぎ はしゅびよくあだ をうち


(大意)

(悪)事、婆さんを殺したかたき

おもいしれ」と、散々に打ちたたくと

船は崩れ、たぬきは船と共に海へ沈んで死にました。

うさぎは首尾よく仇(あだ)を討ち


(補足)

一行目行末「うさぎ」、文末の行「うさ起゛」、平仮名と変体仮名の使い分けは前後の文の流れや使われる文字の組み合わせなどがありますが、どうやら気分次第が適当なようです。

 うさぎの戦う姿、このようなものを描かせるとうまいですねぇ。沖に出るには腰蓑は必需品。うさぎの右側の海の描き方は前頁と同じです。前頁で小さかった沖の帆掛け船は今度はやや大きめに描かれています。

 P11ではうさぎの櫂攻撃で手も脚も出ぬたぬき。よく見るとたぬきも腰蓑をつけていました。たぬきのひっくり返った姿より、手前の海の荒れる様子のほうが見応えがあります。沖には沈みゆく夕日なのか、はたまた良き日をめでる朝日なのか。

 

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