2022年10月30日日曜日

猫の芝居(堤吉兵衛) その11

P10 国立国会図書館蔵

(読み)

このところ

このところ


尓やんとも

にゃんとも


せりふ

せりふ


い王す

いわす


まきものを

まきものを


く王へ

くわえ


者志ミちより

はしみちより


せしたす

せしたす


御届明治廿年二月廿一日

日本橋区吉川丁5番地

編輯兼出版人 堤吉兵衛

價二銭


(大意)

このところ

ニャンともいわず

巻物を

くわえ

はしみち?

より

せしたす


(補足)

「者志ミちよりせしたす」、さっぱりわかりません。

明治20年をすぎると活版印刷が普及してきたために、急速に絵師・彫師・摺師の腕が落ちていきます。絵師はまだしも彫師・摺師は次の仕事がなく弟子もいませんし、まだ独り立ちできないままの彫師・摺師が中途半端な仕事をすることになって、木版画などの質は目に見えて悪くなっていきました。この豆本もその悪くなってゆくちょうどその時分のもののように感じられます。

 価格が二銭とあるように、いったいその仕事に関わったひとの手間賃はどのくらいだったのか恐ろしくなります。

 

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